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  • 未去勢
  • 内臓型肥満細胞腫
  • 腸管腫瘍摘出
  • 前肢軟部組織肉腫
  • 巨大な脾臓腫瘍摘出
  • 腎細胞がん
  • リンパ腫
  • 皮膚肥満細胞種
  • 脾臓肉腫 多形紅斑
  • 猫のリンパ腫
  • 乳腺腫瘍(悪性)
診断名: 未去勢
種類名:ポメラニアン 17歳 未去勢オス
主訴
1年以上前からの片側精巣腫大 最近になって一部自壊し排膿している 以前に摘出手術を検討したが心臓疾患があることで延期してきた 現在の元気食欲、排便排尿は問題なし
臨床症状
精巣腫大(約20×10×8cm) 一部から排膿と出血 本人が気にしていて長時間舐めたり噛んだりしている
検査結果
血液検査:炎症マーカー高値 貧血なし 血液凝固能異常なし レントゲン検査:転移所見なし 腹部エコー検査:軽度前立腺拡大 心臓エコー検査:軽度僧帽弁閉鎖不全症
診断
片側精巣腫瘤
治療
精巣と包皮の一部を含めた腫瘤全摘出を実施 切除範囲を広く確保するのが難しい位置であるため、最小限のマージンで切除 縫合の際には 摘出した腫瘤は病理検査に提出
解説
本症例では片側の精巣が長い期間をかけて徐々に腫大し、後肢の間に挟み込まれるような状態で位置していました。日常生活で常に干渉を受けるぐらい腫大していたため、生活の質を著しく低下させ、ストレスを抱えながら過ごしてきたと考えられます。 一般的に精巣腫瘤には片側腫大と両側腫大があり、片側腫大の割合が多いとされています。 精巣は内臓器と違って体表に位置しており、生活している中でも大きさや形などの変化に気がつきやすい組織ですので、いかに変化を見逃さないかが重要なポイントとなります。 幼少期精巣が下降せずに腹腔内に留まってしまう状態(潜在精巣)については、通常よりもはるかに腫瘍化しやすいことが明らかになっていますので、生後約8ヶ月以降になっても精巣が2つ体外に無い場合は早期の摘出手術が必要です。 また今回は心臓疾患にも罹患していました。僧帽弁閉鎖不全症は犬で多く見られ、全身麻酔下での手術に対して躊躇せざるを得ない状況となる場合があります。しかし術前のリスク評価をしっかりと行い、心臓への負荷を最小限にすることができれば、手術を安全に終えることが可能です。この症例に関しても術後良好で問題なく退院することができました。
まとめ
精巣の変化については普段の生活の中で気づき、ご来院されることが多いです。 緩徐な変化となることもありますので、少しでもおかしいなと感じたら早めに診察にいらして下さい。 潜在精巣についても、気づいたときにはお腹の中で腫大化しているということが多々あります。 幼少期に去勢手術をすれば将来の大きなリスクを確実に防ぐことができますので、まずは去勢手術を第一に検討しましょう。 当院では生後6ヶ月以降での去勢手術をご案内しておりますので、是非ご相談ください。
診断名: 内臓型肥満細胞腫
種類名:犬の肥満細胞腫
主訴
食欲不振を主訴に来院されましたが、体表に腫瘤を認めず、エコー検査で腹腔内のリンパ節の腫大を認めました。
治療
FNAという、細い針で細胞を採取し肥満細胞腫と診断、抗がん剤治療を行いました。 通常の肥満細胞腫に比べ、予後が悪く早期診断が望まれる腫瘍です。
解説
犬の体にしこりができたときに第一に疑う腫瘍です。 悪いものでは赤く腫れたりしますが、良性に近いものでは様々な見た目になるため注意が必要な腫瘍です。 腫瘍のグレード(悪性度)により治療が異なり、早期診断により完治させる事も可能です。 グレードにより手術、抗がん剤、分子標的薬などの選択が異なります。
診断名: 腸管腫瘍摘出
種類名:13歳 柴犬
主訴
健康診断の超音波検査で小腸に腫瘍が見つかり切除を行いました。
治療
腸切除後、内腔からの3-shot Gambee、Back-wall Gambee縫合という特殊な縫い方を行っています。
解説
無症状の早期のうちに手術を行う事で、腺癌という悪性腫瘍にも関わらず根治的な治療が達成できました。 術後に嘔吐、下痢などの症状も認めていません。
診断名: 前肢軟部組織肉腫
種類名:15歳 雑種
主訴
数年前から徐々に腫瘍が大きくなり来院。
検査結果
脂肪腫と指摘されたとの事でしたが、悪性の腫瘍(軟部組織肉腫)でした。
治療
前肢は皮膚のゆとりがなく大きく切除することが難しいのですが、完全摘出が出来ました。 術後の歩行も問題なく可能でした。
診断名: 巨大な脾臓腫瘍摘出
種類名:14歳 ヨークシャテリア
主訴
食欲不振
検査結果
エコー検査で脾臓に巨大腫瘍が見つかりました。
治療
腫瘍は大きく、左の尿管や腎臓、膵臓を巻き込んでいましたが丁寧に剥離切除する事で、障害を残す事なく摘出できました。
診断名: 腎細胞がん
種類名:腎細胞がん:チワワ 5歳 未去勢オス
治療経過①
治療経過②
主訴
1ヶ月以上続く食欲不振。発熱。 他院にて腹腔内腫瘤の存在確認。
臨床症状
食欲不振。体重減少。
検査結果
血液検査:TP軽度上昇。 その他、血液凝固検査も含め以上なし。 レントゲン検査:胸部に明らかな転移所見なし。 腹部エコー検査:右腎臓頭側部に腫瘤を認める。 CT検査:右腎臓内側腹側部に腫瘤(7.2×4.5×5.0cm)。尿生成可能。 肺、脊髄への転移所見なし。
治療
右腎臓全摘出 摘出後はピロキシカムの内服にて維持治療
解説
本症例では、CT検査の結果より、副腎や近くの臓器を巻き込んでいたり、後大静脈や腹壁などに癒着している可能性は低く、腎細胞がんの転移や浸潤が多い肺や脊髄にも以上所見は認められませんでした。しかし、腫瘤のサイズも大きかったため、手術の際には、開腹後に目視で血管等を注意深く観察し、摘出を行いました。 腎細胞がんに対しては、殆どの抗がん剤が効きにくいと言われています。しかし、若齢の腎細胞がんは高悪性で、2年以内に再発や転移を認めることが多く、そのような症例では悪い予後を辿ります。逆にそれまでに再発、転移が認められなければ、3年以上良好な経過を辿ると言われています。そのため、本症例では、定期検査を行いながら、腎細胞がんに有効であったと報告があるピロキシカムを内服し、維持治療を行うことにしました。
まとめ
本症例では1ヶ月以上続く食欲不振が認められていましたが、血液検査では特に大きな問題はありませんでした。しかし、エコー検査を行うと腎臓に腫瘤が見つかりました。腎細胞がんでは、腎数値が上昇しない症例も多く存在します。腎細胞がんのみに留まらず、血液検査だけでは診断できない病気もあります。特に腫瘍は、転移をしているか否かが、予後や治療に大きく関わるので、早期発見のためにも、若齢の子だとしても、元気食欲などの低下が長く続く際には、積極的に画像検査をすることをおすすめします。
診断名: リンパ腫
種類名:消化器型リンパ腫(B細胞由来の大細胞性リンパ腫):MIX 5歳 避妊雌
治療経過①
治療経過②
主訴
慢性的に続く嘔吐 (1ヶ月に10回程度) 一般状態に問題は認められない
臨床症状
右下顎リンパ節腫大
検査結果
血液検査:特筆すべき異常はない(項目:CBC 生化学 CRP PT・APTT Spec ) レントゲン検査:転移所見なし 腹部エコー検査:脾臓に蜂の巣状に低エコー性結節         空腸壁の腫脹         空腸リンパ節の腫大         膵臓に低エコー性の結節 FNA:脾臓のリンパ腫の可能性が高いとの診断
治療
内視鏡+外科手術+開腹下FNA+抗がん剤 1 上部内視鏡検査を実施し、胃と十二指腸の精査と生検 2 脾臓摘出 3 肉眼、触診による空腸および結腸の精査とFNA 4 空腸リンパ節のFNA 5 術後の抗がん剤(UW-25)
解説
内視鏡検査では胃内および十二指腸にマダラ状に出血と白点が認められたため生検を行いました。生検の目的としては脾臓のリンパ腫と同じように腫瘍なのか、もしくはIBDなどの他の疾患なのかを鑑別するためです。  脾臓に関しては手術前のFNA検査でリンパ腫と仮診断が出来ていたので予定通り摘出を行いました。超音波凝固装置を用いることで出血を最小限にすることが出来ます。  小腸壁や空腸リンパ節が腫大していたためFNAを行い、外注の病理検査の結果消化器型リンパ腫と診断がつきました。  リンパ腫は抗がん剤に対する反応が良好なため、術後に抗がん剤治療をスタートしました。一般的な消化器型リンパ腫は予後があまり良くありませんが、今回の症例では非常に反応が良く良好にコントロールできています。 
まとめ
今回の症例は慢性的な嘔吐が続き他院で対症療法や原因精査を行なっても望ましい結果を得ることができず困っていました。その為当院では内視鏡検査やFNAなどの検査を積極的に行い診断をつけ、外科手術と抗がん剤を組み合わせることで良好な結果を得ることが出来ました。 腫瘍の診断や治療でお困りの方はお気軽にお問い合わせ下さい!!
診断名: 皮膚肥満細胞種
種類名:皮膚肥満細胞種:トイ・プードル 7歳 未去勢オス
治療経過①
治療経過②
主訴
右後肢の付け根にしこりがある
臨床症状
右後肢大腿部に腫瘤を認める(1.5×2.0cm) 本人はあまり気にしていない様子
検査結果
皮膚腫瘤のFNA:肥満細胞種と診断 右膝下リンパ節FNA:転移所見なし 血液検査:特筆すべき異常なし レントゲン検査:転移所見なし 腹部エコー検査:転移所見なし
治療
右後肢腫瘤の外科的切除を行った。 水平マージン2cm、垂直マージン筋膜1枚分(マージン:腫瘍細胞を完全に取り切るために、腫瘍の周りの正常な組織も腫瘍と一緒に切除すること)
解説
今回の症例では飼い主様がワンちゃんの後肢のしこりに気づき来院されたのがきっかけで手術にまで至りました。皮膚肥満細胞種は見た目だけではその他の良性な腫瘍と見分けることが難しい場合もありますが、FNAを行うことでほとんど診断することができます。 大きさや腫瘍発生の個数・場所、転移所見の有無によって治療法が異なります。特に重要なのはリンパ節が正常な大きさであっても転移をしている可能性があるということです。 そのためこのワンちゃんも右膝下リンパ節のFNAや超音波検査を行い、オペ前に入念に転移所見の有無を探りました。その結果転移所見がなく外科手術で完治する可能性が高いと判断し手術を行いました。
まとめ
今回のワンちゃんは1年前に手術を行いましたが現在も元気に過ごしてくれています! 腫瘍の手術では1回目の外科手術が完治させることのできる唯一のチャンスです。 そのため手術には転移所見のチェックなど入念な検査や適切な判断が求められます。 また、皮膚の腫瘍には他にも様々な種類があり、見た目だけでは判断がつかないケースも数多くあります。 わんちゃん猫ちゃんの皮膚のしこりやイボで気になることがあれば気軽にお問い合わせください!!
診断名: 脾臓肉腫 多形紅斑
種類名:脾臓肉腫 多形紅斑:13歳 去勢オス
治療経過①
治療経過②
主訴
皮膚がただれている。 歯科処置の麻酔前検査を行った所、レントゲン検査とエコー検査にて脾臓腫瘤を認めた。
臨床症状
一般状態変わらず。 腋窩、腹部、鼠蹊部にかけての大きな痂皮あり。
検査結果
血液検査:貧血の所見あり。血液凝固検査異常なし。 レントゲン検査:腹部において、脾臓腫瘤を認める。転移所見なし。 腹部エコー検査:脾臓の体部において、49.6×72.5mmの低エコー領域を認める。腹部において、軽度の腹水を認める。転移所見なし。
治療
脾臓全摘出 皮膚生検  摘出した脾臓及び皮膚は病理検査に提出。 多形紅斑は免疫治療を行った。
解説
今回の症例では、麻酔下での歯科処置をする際に行うスクリーニング検査において、脾臓に大きな腫瘤が認められました。その為、治療として脾臓の全摘出手術を行いました。皮膚においては、症状から皮膚炎が疑われましたが、確実な診断と治療をする為に生検を行いました。病理組織診断を行ったところ、脾臓は低グレード性の脾臓肉腫、皮膚は多形紅斑と診断されました。 脾臓は感染に対する防御を担う働き(免疫系)がありますが、体にはその働きを代替できるリンパ節がある為、摘出自体は問題ない臓器です。本症例における脾臓肉腫は低グレードであり、悪性度が低く転移率も低いですが、今後も定期的な検査による転移のチェックが必要です。 多形紅斑は免疫介在性疾患であり、薬剤、感染症、食事、内臓の悪性腫瘍などによって引き起こされます。犬では突発性があり、自然治癒することが少なく、慢性的な経過を辿る病気です。今回の皮膚のただれは、脾臓腫瘍に関連したものであると考えられた為、脾臓摘出と免疫治療を行ったところ、ただれは良化して症状も改善しました。
まとめ
本症例の皮膚のただれは、一見皮膚病のみに思われましたが、偶発的に発見した脾臓腫瘍による免疫が関与した病態でした。 今回のように皮膚病の原因が皮膚とは別の要因のことも多々あるので、定期的な皮膚の状態チェックや健康診断による身体の検査が重要になってきます。
診断名: 猫のリンパ腫
種類名:猫のリンパ腫
解説
猫では胃腸管のリンパ腫が多いですが、このようにリンパ節が腫れて気づくこともあります。頸部のリンパ節のみ腫大が認められたため摘出術を行い、病理検査によりリンパ腫と診断しました。診断後は抗がん剤による治療を行なっています。
診断名: 乳腺腫瘍(悪性)
種類名:乳腺腫瘍(悪性):猫 雑種 11歳 避妊雌(8歳の時に避妊手術)
手術前
手術後
主訴
右第三乳腺と第四乳腺の間に小さなしこりがある 一般状態は良好
検査結果
皮膚腫瘤のFNA:乳腺癌の可能性が高いと診断 血液検査:特筆すべき異常なし レントゲン検査:転移所見なし 腹部エコー検査:転移所見なし
治療
乳腺の段階的両側全切除を行なった。(初めの片側全摘手術をしてから数週間空けて逆側の片側全摘を行うこと) 水平マージン2〜3cm程度、垂直マージン筋膜1枚分(マージン:腫瘍細胞を完全に取り切るために、腫瘍の周りの正常な組織も腫瘍と一緒に切除すること)
解説
今回の症例では飼い主様が猫ちゃんの乳腺にある小さなしこりに気づき来院されたのがきっかけで手術にまで至りました。猫ちゃんの乳腺腫瘍は8〜9割が悪性であり手術を行なったとしても、転移することがしばしば認められる非常に悪性度の高い腫瘍です。 腫瘍の大きさやリンパ節・遠隔転移の有無によって予後が異なります。 手術方法にも両側同時全摘、段階的両側全摘、片側全摘といったように何種類か方法があります。紹介した順に合併症の発生確率が低くなるため、症例に合わせて術式を選択する必要があります。また外科手術と抗がん剤治療を組み合わせることで生存期間をさらに伸ばすことも可能です。
まとめ
今回の猫ちゃんは2年前に手術を行いましたが現在も元気に過ごしてくれています! 乳腺腫瘍の治療には乳腺の丁寧な触診、確実な転移の有無の評価、症例に合わせた手術または抗がん剤の選択などと総合的な診察力が必要になります。また手術では乳腺領域の確実な切除とリンパ節の切除が必要になります。 猫ちゃんは病気を隠すのが上手く、お家だと乳腺をゆっくりと触診することもないため発見が遅れてしまうことも多々あります。そのため定期的な健康診断や病院に来る機会はそういった病気を早期発見する良い機会になります! また、腫瘍には他にも様々な種類があり、見た目だけでは判断がつかないケースも数多くあります。 わんちゃん猫ちゃんの皮膚のしこりやイボで気になることがあれば気軽にお問い合わせください!!
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