「犬の悪性リンパ腫にはどのような末期症状があるの?」
「末期症状が出たら、もう死が近いの?」
犬のリンパ腫には複数の種類があり、それぞれ末期症状も異なります。
この記事では、犬の悪性リンパ腫の末期症状について解説しています。
犬の悪性リンパ腫は末期症状が出たとしても、早期治療によって予後が良くなるケースがあります。当院では腫瘍認定医による正確な診察と適切な治療提案が可能ですので、まずはご相談ください。
当院の腫瘍治療について
目次
犬の悪性リンパ腫の末期症状
犬の悪性リンパ腫の末期症状は、リンパ腫の種類によって異なります。
リンパ腫の種類 | 末期症状 |
---|---|
多中心型 | 呼吸困難や食欲不振、発熱、下痢、嘔吐といった種々の症状が重なり、臓器の機能低下や体重減少などにより消耗していく。 |
消化器型 | 嘔吐や下痢などの消化器症状の頻度が増加し、対症療法での対応が困難となり全身状態が悪化する。 |
縦隔型 | 腫瘍の占拠による圧迫や胸水貯留が悪化し、呼吸困難な状態に陥る。病変が前大静脈に及ぶと、前肢や頭頸部を含む広範囲に浮腫を伴う。 |
皮膚型 | 全身の広い範囲に脱毛、フケ、赤みが広がり、それらが潰瘍化して出血を伴う(上皮向性リンパ腫の場合) |
それぞれ詳しく解説していきます。
なお、初期症状については以下の記事を参考にしてください。
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犬のリンパ腫の初期症状とは?着目すべきポイントや放置する危険性について解説
多中心型の末期症状
犬のリンパ腫のなかで最も多く見られる病型であり、約8割ほどがこの病型に分類されます。
全身のさまざまな部位の体表リンパ節が腫れ、その他肝臓や脾臓などの臓器の腫れも認められることがあります。
進行していくとリンパ節の腫れによる気道圧迫による呼吸困難や食欲不振、発熱、下痢、嘔吐といった非特異的な症状がみられます。
その他に、肺への細胞浸潤や眼の炎症や出血を引き起こすこともあります。末期症状としては、これらの種々の症状により臓器の機能低下や体重減少などがみられるようになり消耗していきます。
消化器型の末期症状
犬のリンパ腫の中で、多中心型についで多く発生する病型であり、上部消化管(胃、小腸)に病変が形成されるのが一般的です。
症状は、病変の発生部位により異なりますが、多くは嘔吐や下痢などの消化器症状であり、それに伴う体重減少もみられます。大腸の病変である場合には粘血便が持続するといった症状もみられます。
病状が進行するにつれ消化器症状の頻度が増加し、末期症状になると対症療法での対応が困難となり全身状態が悪化していきます。
縦隔型の末期症状
犬のリンパ腫では消化器型と同等か、それより少ない程度でみられる病型です。胸の中心部分にある前縦隔リンパ節や胸腺と呼ばれる部分の腫大が特徴です。
胸腺やリンパ節が腫大することで肺が拡張できるスペースが減り、また二次的に血液やリンパ液の流れが悪くなることで、胸に水が貯まるようになります。
初期段階では腫瘍の占拠による圧迫や胸水貯留は軽度ですが、次第に悪化していき、末期症状に至ると呼吸困難な状態に陥ります。
また病変が前大静脈に及ぶと、前肢や頭頸部を含む広範囲に浮腫を伴うようになります。
皮膚型の末期症状
皮膚に発生するリンパ腫の病型であり、発生は比較的稀です。大きく2つのタイプに分かれますが、表皮や毛包、汗腺などの皮膚付属器への腫瘍細胞の浸潤を特徴とする「上皮向性リンパ腫」が一般的です。
上皮向性リンパ腫の場合、初期には赤く腫れた病変が1つまたは複数形成され、徐々に全身へと拡大します。
進行すると全身の広い範囲に脱毛、フケ、赤みが広がり、それらが潰瘍化して出血を伴うこともあります。また、かゆみがみられる場合もあります。
非上皮向性リンパ腫の場合は、皮膚の下に固いしこりとして複数発生し、徐々に全身に拡大していき脱毛や潰瘍化がみられることが多いです。
悪性リンパ腫の末期症状が出た犬は最期を待つしかない?治療の選択肢はある
悪性リンパ腫の末期症状が出た犬でも、やれることはまだあります。
犬の悪性リンパ腫は基本的に、症状の進行度というよりはその病型によりどのような治療が可能かが異なります。いずれにしても適応可能な治療があれば、その治療を実施することで進行を抑え、症状を改善できる可能性があります。
状態が悪ければ、点滴治療により状態を改善したうえで治療を実施することも可能です。状態改善の後、抗がん剤治療を行うことで、リンパ節や臓器の腫れが治まり、食欲不振、下痢、嘔吐などの症状が改善すれば、生活の質が戻ってきます。
また、孤立して発生しているものについては外科処置が適応できる場合もあります。例えば、皮膚では腫瘍の自壊による傷を改善し、腸管であれば通過障害などを改善することができるので、こちΩらも生活の質の改善に繋がります。
犬の悪性リンパ腫は末期症状に至る前に病院に連れていくことが大切
どのような病気でも言えることですが、早期に治療を行うことで、その後の生存期間は延長します。早期の治療が実施できると、状態の悪化がない状況で抗がん剤や手術などの治療に臨めるため、治療を完遂できる可能性が高いです。
しかし、状態が悪いまま治療を開始すると副作用や麻酔リスクの観点から治療を断念せざるを得ないこともあります。治療継続が困難であれば結果として、治療効果が不十分となり予後は悪いものとなります。
このため、少しでも異変を感じたら早めに検査や治療を行うことが重要です。
当院には腫瘍認定医が在籍しており、犬の悪性リンパ腫の治療実績が多数あります。他院で治療の効果が出なかった場合のセカンドオピニオンも可能なので、まずはご相談ください。
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