FIPが恐ろしい病気なのは事実ですが、早期発見して適切に治療すれば治る可能性があります。
とはいえ、「具体的にどうやって治療するの?」と不安や疑問を持つ飼い主さんも多いでしょう。
この記事では、FIP治療について詳しく解説していきます。
なお、もしあなたの愛猫がFIPを発症しているのであれば、無治療の場合は致死率はほぼ100%です。
当院には多くのFIP寛解実績があります。FIPは早期発見・治療が非常に重要なので、まずは以下より当院へご連絡ください。
当院のFIP治療について
目次
FIPの治療方法は?84日間の投薬が基本
FIPの治療は、投薬が基本です。投薬は84日間継続するのが基本で、以降は経過観察となります。
投薬治療を84日間行った場合、生存率は80%以上という報告があります。
<研究結果>
- 生存率82.2%
(FIPに罹患した猫141匹に投薬→116匹が生き残り25匹が治療中に死亡) - 投薬終了後の再発率2.5%
(84日間の投薬後に生存していた116匹中、4週間以内に再発したのは3匹)
「致死率ほぼ100%」「発症すると10日程度で亡くなってしまう」など、FIPはもともと死に直結する怖い病気でしたが、最近では特効薬が開発されたことで治療できるようになりました。
ただし、再発率が約2.5〜5%あるという報告もあります。
投薬を終了して3〜4日で再発するケースもあるため、84日で薬を止めてもよいのか、延長すべきかを慎重に判断する必要があります。
FIPの治療については以下の動画でも詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
当院のFIP治療について
FIPとはどのような病気か知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
▼関連記事
FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?症状・うつる経路・治療費の相場などを解説
FIPの治療に用いるのはどんな薬?特効薬「ムティアン」が主流
FIPの治療薬にはいくつかの種類がありますが、当院ではムティアンという薬を主に用います。投与方法は注射です。
ムティアンは2022年末の時点で全症例数3.6万件と、他の治療薬と比べ圧倒的な症例数を保有しています。
ムティアンと他の治療薬の違いは以下のとおりです。
改善率や再発率の面からも他の薬より優れるとされるムティアンですが、費用相場が100〜150万円と高額なのがデメリットです。
そのため、症状や治療経過に応じて、治療途中でムティアンからモルヌピラビルに切り替える選択肢もあります。
以下は、当院での治療ケースの一例です。
当院のFIP治療について
治療薬の種類については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。
▼関連記事
FIPの治療薬にはどんな種類がある?MUTIAN(ムティアン)やCFNの値段や副作用まとめ
FIP治療の相場は60万円〜120万円
FIP治療の費用は、「ウェットタイプ」なのか「ドライタイプ」なのか、またどのくらい進行しているかによって異なります。
あくまで目安ですが、相場は次のとおりです。
- ウェットタイプ:60万円
- ドライタイプ:90万円
- 末期の場合:120万円
※体重が3kgと仮定した場合
体重や骨格などによって費用は変動することも理解しておきましょう。
FIPの治療薬はどこで手に入る?専門の動物病院に相談
FIPの治療薬は動物病院で処方してもらいましょう。
ただしFIP治療に対応していない病院もあるので、事前に確認することも大切です。
またFIPの治療薬は国内で認可されていません。治療に使うのは未承認薬であり、安全性や効果が保証されているわけではないため、医師の慎重な判断のもと投与する必要があります。
飼い主さんが海外から個人輸入で入手しようとするケースもありますが、個人輸入の薬は粗悪品や偽物の恐れがあるのでおすすめしません。正しい投与方法を把握できないほか、税関手続きなどで時間がかかりすぎてしまい、薬を待っている間に猫ちゃんが急変する可能性もあります。
安全性やタイムリミットなどを考慮すると、動物病院で処方してもらうのがよいでしょう。
当院では医師の診察のもと、多く改善事例が報告されている「MUTIAN(ムティアン)」を処方しています。適切な投与方法もレクチャーしているので、ぜひご相談ください。
当院のFIP治療について
FIPは治療しないとどうなる?致死率はほぼ100%
FIPは治療しないと、ほぼ100%死に至ってしまいます。
最終症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 呼吸困難
- 黄疸
- 眼振
- ふらつき
- 麻痺
- 痙攣
最初は食欲不振や体重減少などのちょっとした異変でも、最終的には上記のような症状を経て死に至る病気です。
とはいえ、今となっては特効薬が開発され、FIPは治る病気となりました。
愛猫に異変を感じた時点で、病院で診察を受けることが重要です。
うちの猫ちゃんがFIPかも?病院に行くかどうかの判断基準
FIPは早期発見と治療が重要なので、少しでも様子に違和感を感じたら動物病院を受診しましょう。
FIPの予兆としては、次のようなものがあります。
- お腹が膨らんできた
- 下痢や便秘が見られる
- 目の色や歩き方が変
- 急に攻撃的になった
- 呼吸が苦しそう
FIPでは神経症状が見られることもあり、発作や攻撃的になるなど行動に変化があらわれることもあります。単に体調不良になるだけではありません。
そのため少しの変化も見逃さず、動物病院で的確な診断を受けることが大切です。
FIPの予防方法
FIPを予防するには、変異前の猫コロナウイルスに感染させないことが何よりも重要です。猫コロナウイルスに感染していなければ、体内でFIPウイルスに変わることもありません。
猫コロナウイルスに感染させないために押さえておきたいポイントは次の4つです。
- 外飼いをしない
- 多頭飼いをしない
- ストレスの少ない飼育環境を整える
- 定期的にPCR検査を実施する
順番にチェックしていきましょう。
①外飼いをしない
外飼いは猫コロナウイルスに感染している他の猫との接触の恐れがあります。
自由に外に出かけられる環境で飼われている方もいるかもしれませんが、FIP予防の観点からは室内飼いに切り替えるのが望ましいです。
②多頭飼いをしない
なるべく多頭飼いをしないことも大切です。
変異前の猫コロナウイルスを持った同居猫から感染する恐れがあるほか、多頭飼いはストレスにより免疫力の低下につながるともいわれています。
すでに多頭飼いをしている方は、愛猫の様子に異変がないか、日頃からよく観察しておきましょう。定期的に動物病院で検査してもらうことも大切です。
③ストレスの少ない飼育環境を整える
ストレスは免疫力の低下につながりやすいため、愛猫が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
たとえば次のようなことを心掛けると、猫は快適に過ごせます。
- キャットタワーで高い場所を作る
- 爪とぎの場所を複数用意する
- 猫が落ち着いてくつろげる環境を整える
- 猫の性格に合った可愛がり方をする
- 家以外の場所に頻繁に連れて行かない
- 頻繁な来客は控える
猫は見晴らしが良い高いところを好む傾向にあるため、キャットタワーを用意することでストレス軽減につながるでしょう。思う存分爪とぎができるように、爪とぎの場所を複数用意するのもおすすめです。
また猫の性格を把握してコミュニケーションをとることも大切です。たくさん撫でられたい猫もいますが、構いすぎると苦痛に感じる猫もいることを理解しておきましょう。
ストレスの少ない環境で毎日過ごさせてあげることで、猫コロナウイルスへの感染リスクを減らせます。
④定期的にPCR検査を実施する
万が一感染した場合も早期発見と治療ができるように、定期的にPCR検査を受けましょう。PCR検査では血液や糞便などから猫コロナウイルス感染の判定が行えます。
具体的な検査頻度についてはドクターと相談しながら決めましょう。
定期的に動物病院へ足を運ぶことで些細な疑問や不安も相談できて、心の安心にもつながります。
当院のFIP治療について
FIPとその治療に関するよくある質問
最後に、FIPとその治療に関するよくある質問に回答していきます。
FIP治療はペット保険の補償対象となりますか?
FIPの治療費は補償対象になりません。FIP治療は未承認薬を使用するためペット保険の補償対象外です。
ただし、診断・検査・FIP薬以外の治療費・入院費などは、一般的には補償対象となります。
補償の範囲は保険会社によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。
※参考:ペット保険ステーション
FIPの予防接種はありますか?
現時点ではありません。変異前の猫コロナウイルスに感染しないように細心の注意を払いましょう。
FIPを治療しないという選択肢もありますか?
既に症状がかなり悪化しており、薬の投与を嫌がるといった場合は、医師と相談して治療しないという選択肢もあります。
FIPを発症しやすい年齢はどれくらいですか?
2才以下の若齢猫での発症が多いとされています。
FIPを発症して急死してしまうこともありますか?
FIPは発症から数日以内に急死するケースもあります。FIPの兆候が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
治療後にFIPが再発することはありますか?
MUTIANの投与は「84日投薬終了後の再発率2.5%※」という報告がありますが、再発の可能性は0ではありません。定期的に通院して健康診断を行うことが大切です。
猫コロナウイルスが人間へと感染することはありますか?また、人間のコロナウイルスが猫へと感染することはありますか?
種を超えての感染はありません。猫のコロナウイルスは猫間でのみ伝染します。
まとめ
不治の病として恐れられていたFIPですが、最近では特効薬の開発により治療できるようになりました。まだまだ解明されていない部分が多いのも事実ですが、投薬治療により症状が大幅に改善したケースが多く、「完治できる」との意見もあります。
なお、もしあなたの愛猫がFIPを発症しているのであれば、無治療の場合は致死率はほぼ100%です。
当院には多くのFIP寛解実績があります。FIPは早期発見・治療が非常に重要なので、まずは以下より当院へご連絡ください。
当院のFIP治療について