FIPはもともと死に直結する怖い病気でしたが、近年FIPに有効な抗ウイルス薬が開発されたことで治療できるようになりました。
万が一猫ちゃんがFIPを発症しても、命を救える可能性が高いのは嬉しいことです。しかし「FIPの新薬ってどんなもの?」「値段や副作用は?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこでこの記事では、FIPの新薬についてご紹介します。新薬以外のFIP治療薬や有効性についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
なお、もしあなたの愛猫がFIPを発症しているのであれば、無治療の場合は致死率はほぼ100%です。
当院には多くのFIP寛解実績があります。FIPは早期発見・治療が非常に重要なので、まずは以下より当院へご連絡ください。
当院のFIP治療について
目次
FIPの新薬(先発医薬品)
新薬(先発医薬品)とは、新しい有効成分が開発されて最初に発売される薬のことです。FIP治療に用いられる新薬には、次のようなものがあります。
- レムデシビル
- モルヌピラビル
ただし、FIPの新薬は症例が少なく、効果や副作用についてまだわからない部分が多くあります。そのため、新薬を処方している動物病院は少ないのが現状です。
FIPの新薬にあたるレムデシビルとモルヌピラビルについて、それぞれ解説していきます。
①レムデシビル
費用:不明(取り扱っている病院が現状少ない)
レムデシビルはウイルスの増殖を抑える作用が期待される薬です。
もともとは人間の新型コロナウイルスの内服薬として承認された薬ですが、一部の病院では動物用としてレムデシビルを取り扱っています。
ただし実際の症例は少なく、効果や副作用についてはわからない部分が大きいのが現状です。
②モルヌピラビル
費用:不明(これまで流通していた薬の1/4程度といわれている)
モルヌピラビルは、レムデシビルと同じくもともと人間の新型コロナウイルスの抗ウイルス薬として承認された薬で、猫のFIP治療にも効果が期待できるとして注目されています。
値段がこれまで流通していた薬より安価なのも特徴です。
しかし、こちらも先述したレムデシビルと同様に症例が少なく、副作用などの情報が乏しいため安易な選択はできません。病院によって取り扱うかどうかの考え方は異なります。
なお、FIP治療については以下の記事で詳しく解説しています。治療についても知っておくことで、愛猫にFIPの予兆が現れたときに迅速な対応ができるでしょう。
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FIP治療とは何をするの?確実に治る?治療費の相場や治療薬の入手方法も
新薬以外のFIPの治療薬
新薬以外のFIP治療薬には次のようなものがあります。
- MUTIAN(ムティアン)
- CFN
これらはFIP治療で主流の治療薬となっており、FIPが完治したケースも多数報告されています。
①MUTIAN(ムティアン)
費用:100万円〜150万円程度
MUTIAN(ムティアン)はFIPの代表的な治療薬です。現在は「Xraphconn(ラプコン)」という薬名で流通しています。
もともとFIPの特効薬として「GS-441524」という薬があり、それを真似る形で製造されました。あくまで模倣なので、GS-441524のジェネリックという扱いにはなりません。
MUTIANはFIP治療において高い有効性が期待されており、次のような研究結果もあります。
<研究結果>
- 生存率82.2%
(FIPに罹患した猫141匹に投薬→116匹が生き残り25匹が治療中に死亡) - 投薬終了後の再発率2.5%
(84日間の投薬後に生存していた116匹中、4週間以内に再発したのは3匹)
症例数が多く信頼性が高いことから、MUTIANを使ったFIP治療は増えてきています。
起こりうる副作用としては次のようなものがあります。
<起こりうる副作用>
- 肝機能の低下
- 消化器症状(下痢や嘔吐)
- 貧血
これまでに報告された副作用は重篤なものではなく、軽度〜中等度で許容範囲と考えられています。
当院では医師の診察のもとMUTIANを処方しているので、ぜひご相談ください。
当院のFIP治療について
②CFN
費用:100万円〜150万円程度
CFNはMUTIANと製造方法や成分が同じといわれており、病院によってはMUTIANではなくCNFを取り扱っています。価格としては、MUTIANとほぼ同額〜MUTIANより少し高い程度です。
現状はMUTIANの方が症例数は多いですが、同等の効果が期待できるとしてCFNを取り扱う病院も増えてきました。ただしMUTIANと比べて流通量が少なく、在庫数に不安がある点が懸念事項です。
MUTIANとCFN、どちらも有効性は報告されているものの、どちらを採用するのかは最終的に医師の判断によります。
なおCFNにも、 MUTIANと同様に次のような副作用があります。
<起こりうる副作用>
- 肝機能の低下
- 消化器症状(下痢や嘔吐)
- 貧血
いずれも、軽度〜中等度で許容範囲と考えられています。
FIP治療は新薬以外を使っても大丈夫?有効性は報告されている
国内ではMUTIANやCFNといった新薬以外の薬が多く出回っているのが現状です。
MUTIANもCFNも有効性は報告されており、高確率で完治が望めます。症例データも蓄積されてきているため、もし愛猫がFIPになった場合は試す価値のある治療といえるでしょう。
まだまだ治療に関する情報が少ないFIPですが、今後さらに成績の良い薬が流通する可能性もあります。しかし現状では、それぞれの動物病院で症例データを蓄積しながら、最終的には医師の判断のもと治療を進めるしかありません。
安全で再発しにくい薬を選び、最善の方法で治療したいという気持ちは飼い主様だけでなく獣医師も同様です。
病院を選ぶ際は、FIPに関する情報や治療実績を公開しており、親身になって対応してくれる施設を選んでみてください。
当院のFIP治療について
まとめ
FIPの新薬にはレムデシビルやモルヌピラビルがありますが、現状ではMUTIANやCFNでの治療が主流です。
MUTIANやCFNは症例データが蓄積されてきており、FIPが完治するケースも多数報告されています。
どの治療薬を使用するのかは最終的に医師の判断によるため、信頼できる病院に相談しましょう。
なお、もしあなたの愛猫がFIPを発症しているのであれば、無治療の場合は致死率はほぼ100%です。
当院には多くのFIP寛解実績があります。FIPは早期発見・治療が非常に重要なので、まずは以下より当院へご連絡ください。
当院のFIP治療について