「乳腺腫瘍になった猫ちゃんはすぐに死んでしまうって本当?」
「長生きはもう無理なの?」
このような不安を抱いている飼い主さんもいるでしょう。
この記事では、乳腺腫瘍になった猫が長生きできるかどうかや、長生きさせるための方法について解説しています。
乳腺腫瘍になった猫が長生きできるかどうかは、早期治療がカギです。少しでも違和感を持った段階で、腫瘍の認定医が在籍する当院までご相談ください。
当院の腫瘍治療について
※本記事では、実際の治療(腹部の切開)の写真を掲載しています。苦手な方はご注意ください。
目次
乳腺腫瘍になった猫は長生きできる?現実的には厳しい
乳腺腫瘍になった猫ちゃんが、他の猫ちゃんと同じ長さの予後を送ることは難しいのが現実です。
しこりのサイズが2cm以下の場合は、手術で摘出することで数年程度の予後が見込めます。一方、しこりのサイズが3cm以上の場合は、手術をしても予後は長くて1年程度と言われています。
猫ちゃんの乳腺腫瘍のほとんどは悪性であるため、手術をしないで放置した場合は、より予後は短くなってしまうと考えられます。
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乳腺腫瘍になった猫を長生きさせる方法は?手術による摘出が第一
乳腺腫瘍になった猫ちゃんを長生きさせたいなら、手術を検討しましょう。
猫ちゃんの乳腺腫瘍はほとんどが悪性と言われていますが、しこりがあるだけでは、それが直接死因に繋がることはありません。
乳腺腫瘍になり、亡くなる原因となるのは、腫瘍が肺などの他の臓器に転移してしまうことです。
そのため、乳腺腫瘍になった猫ちゃんを長生きさせる方法は、なるべく転移をさせないように、そして転移があってもそれを抑えるように努めることです。その第一歩は手術による摘出です。
猫ちゃんの乳腺腫瘍を摘出する際は、手術後の再発や転移を可能な限り防ぐために、しこりだけ取るのではなく、しこりを含めて乳腺を全て取る方法が一般的です。
左右全ての乳腺を取るのか、できものがある側の乳腺だけを全て取るのかは、腫瘍の位置やサイズによっても変わってきます。
また、転移の可能性がある際には、抗がん剤投与を重ねて対応することもあります。
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乳腺腫瘍になった猫が長生きした当院の症例
右第3、第4乳腺の間くらいに極小のしこりを確認。針を刺して細胞を確認したところ、乳腺癌(悪性の乳腺腫瘍)の疑いが強く、外科手術を行いました。
1回目の手術では、右側の乳腺を全て切除。この時、左第1乳腺近くにもしこりが見つかったため、そこを部分的に切除しました。
その約1か月後に、左側の乳腺を全て切除。また、その2年後に左脇の部分に再度しこりが認められたため、部分的に摘出しました。
この子は、腋窩リンパ節という脇の所にあるリンパ節に転移も認められました。ですが、肺などへの転移もなく、初めてしこりが見つかってから3年目になります。抗がん剤も使用しておらず、現在も元気に生活してくれています。
猫の乳腺腫瘍の悪化を未然に防ぎ長生きさせる方法
猫の乳腺腫瘍の悪化を未然に防ぎ長生きさせるには、以下が大切です。
- 早期に避妊手術を受けさせる
- 定期的に腹部を触って違和感がないか確かめる
それぞれ詳しく解説します。
早期に避妊手術を受けさせる
避妊手術をしていない猫は、避妊している猫に比べて7倍ほど乳腺腫瘍の発症リスクが高いとされています。また、手術を実施する時期が早ければ早いほど、乳腺腫瘍の発症率は下がります。
避妊手術をする月齢 | 乳腺腫瘍の発生リスク低下率 |
---|---|
6ヶ月以下 | 91% |
7〜12ヶ月 | 86% |
13〜24ヶ月 | 11% |
猫の乳腺腫瘍の悪化を未然に防ぎ長生きさせるには、早期に避妊手術を受けさせることが大切です。
定期的に腹部を触って違和感がないか確かめる
普段から猫ちゃんと多くのスキンシップをはかり、昨日はなかったできものに今日気付けることが何よりもの治療です。腫瘍が小さい段階で違和感に気づいて病院に連れていければ、悪化を防げる可能性があります。
乳腺腫瘍になった猫を長生きさせるには早期発見・早期治療が大切
乳腺腫瘍になった猫ちゃんは、残念ながら他の猫ちゃんと同じ長さの予後を送ることは難しいとされています。
しかし、諦める必要はありません。すぐにでも病院で診察を受け、適切な治療を受けることで、予後を伸ばせる可能性はあります。
当院には、猫の乳腺腫瘍において数多くの治療実績があります。認定医による精度の高い検査・治療が可能なので、ぜひご相談ください。
当院の腫瘍治療について