「愛犬のリンパ節が腫れている…これって何かの病気かな?」
「リンパ節の腫れは悪性腫瘍の可能性があるって聞いたけど、どこを確認すればいいのか分からない」
このような不安を抱えている飼い主さんもいるかもしれません。
この記事では、犬のリンパ節が腫れる原因や、チェックすべき位置を解説します。
犬のリンパ節が大きく腫れている場合、リンパ腫を発症している可能性があります。リンパ腫は無治療の場合、死に至る可能性が非常に高い病気であるため、少しでも不安がある場合は腫瘍認定医が在籍する当院までご相談ください。 |
当院の腫瘍治療について
目次
犬のリンパ節の役割
犬のリンパ節には、損傷した細胞や老廃物を身体から排除する役割があります。また、細菌やウイルス、がん細胞などを排除する役割もあり、感染やがんの拡大を阻止しています。
リンパ節は全身に存在しており、その役割は「免疫機能を調節する関所」をイメージすると分かりやすいでしょう。
犬のリンパ節の位置
犬の体には以下のようなリンパ節があります。
- 下顎リンパ節
- 浅頸リンパ節
- 腋窩リンパ
- 鼠径リンパ節
- 膝窩リンパ節
犬のリンパ節はコリコリした小さい粒のようなものであり、基本的には左右対称に位置しています。触り慣れていないと周囲の組織との違いが分かりづらいため、確認するのは難しいです。
その子の犬種や肥満度、筋肉の付き方によっても触れるかどうかは異なるため、一度病院で獣医師さんと一緒に確認するのも良いかと思います。
以下、それぞれのリンパ節について解説します。
下顎リンパ節
犬の下顎リンパ節は、顎の骨と首の境目周囲にあります。お口周りの症状で大きくなるケースが多いです。
浅頸リンパ節
犬の浅頸リンパ節は、肩と首の境目周囲にあります。人でいう胸骨辺りをイメージすると分かりやすいかもしれません。
腋窩リンパ節
犬の腋窩(えきか)リンパ節は前足の付け根、脇の裏にあります。ここが腫れてしまうと、前足の歩行異常が出てくる場合があります。
鼠径リンパ節
犬の鼠径リンパ節は、後ろ足の内側の付け根部分にあります。ここが腫れてしまうと、後ろ足の歩行異常が出てくる場合があります。
膝窩リンパ節
犬の膝窩(しっか)リンパ節は、膝の裏側にあります。鼠径リンパ節と同様、ここが腫れてしまうと、後ろ足の歩行異常が出てくる場合があります。
犬のリンパ節が腫れる原因
犬のリンパ節は以下のような原因で腫れることがあります。
- 多中心型リンパ腫
- 感染症
- リンパ節反応性過形成、自己免疫疾患、免疫系の過剰反応
- 悪性腫瘍のリンパ節転移
- 歯周病
- 外傷
それぞれ解説していきます。
多中心型リンパ腫
犬のリンパ腫はリンパ球(白血球の一種)が悪性に増殖する腫瘍です。白血球は血液中を介して全身に存在するため、リンパ腫は身体の全ての臓器で起きる可能性がある腫瘍です。
体表のリンパ節が1箇所〜複数箇所(稀に左右非対称)で異常に腫れている場合、リンパ腫が疑われます。元気や食欲がある中でリンパ節が腫れているのを確認できた場合、早期発見している可能性があります。
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感染症
組織が細菌やウイルスに感染した場合、その組織に近いリンパ節が一時的に腫れて大きくなるときがあります。腫れる理由は、免疫機能に刺激(細菌やウイルス)が働くからです。
感染症の場合は、体表のリンパ節の異常だけではなく、咳やくしゃみ、鼻水や発熱などの症状も一緒に認められる場合が多いです。
感染症の治療を行うことで、リンパ節の腫大は収まります。
リンパ節反応性過形成、自己免疫疾患、免疫系の過剰反応
アレルゲンや薬剤などに反応して、良性の免疫細胞(リンパ球)が活性化してしまった場合、その活性化しているリンパ節が腫大してしまいます。
良性ではあるものの、リンパ腫や悪性腫瘍のリンパ節転移などとの違いが非常に難しいため、精密検査が必要になります。
悪性腫瘍のリンパ節転移
腫瘍が既に存在している、あるいは過去に悪性腫瘍の手術や治療を行ったなどの既往歴がある場合は、注意が必要です。腫瘍のグレードや種類にもよりますが、悪性腫瘍はリンパ節に転移しやすいです。
腫瘍に関わったことのある犬は定期的な身体検査にて様子だけではなく、リンパ節の確認も重要になります。
歯周病
歯の汚れを放置していると、歯肉炎や歯周病が進行します。歯に最も近い下顎リンパ節が腫れる場合があり、併発してくしゃみや鼻汁が出るケースもあります。
歯周病の治療を行うことで、腫れは収まります。
外傷
外傷(怪我など)によって発生した炎症でも、リンパ節が腫れる場合もあります。この場合、外傷した部位の付近のリンパ節が腫れる場合が多いです。
怪我の治療とともに、腫れも引きます。
犬のリンパ節を日頃からチェックする重要性
犬のリンパ節の腫れは、老齢性の変化の場合もありますが、元気だったとしても身体の中では何らかの免疫異常が出ている可能性が高いです。
例えば、犬のリンパ腫の初期症状はリンパ節の腫れのみであり、元気や食欲は変わらない場合が多いです。診断やグレードにもよりますが、無治療の場合の余命は1〜2ヶ月です。
リンパ節の腫れは命に関わる病気を発症している可能性もあるため、日頃からチェックしてあげることが大切です。
犬のリンパ節がどれくらいの大きさまで腫れていたら病院に行くべき?
リンパ節が普段の大きさから2〜3倍腫れている、左右非対称であるなどがあれば異常である可能性が高いです。
リンパ節の腫れといっても、大きさや形は犬種や体格によってさまざまです。そのため、触り方を把握して、定期的な大きさや形の計測を行うことを心がけましょう。
リンパ節の腫れに関して不安に思うことがあれば、ぜひ当院までご相談ください。犬の腫瘍認定医が在籍しているため、リンパ腫の発症有無を含めて精度の高い診断が可能です。
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