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犬のパテラ「グレード2」は手術なしで治る?手術にかかる費用やその後の散歩についても解説

更新日:2025年9月30日  公開日:2025年8月31日

犬のパテラ「グレード2」は手術なしで治る?手術にかかる費用やその後の散歩についても解説

犬のパテラの「グレード2」は、膝蓋骨(ひざのお皿)が外れやすく、歩行中に片足を上げるような動作が見られるのが特徴です。手術なしで完全治癒はできないものの、体重管理や筋肉強化、生活環境の工夫によって症状を軽減し、管理できる場合もあります。

ここでは、犬のパテラ「グレード2」は手術なしで治るのかどうか、治療の考え方を解説します。

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この記事の監修者

上野雅祐

上池台動物病院の院長を務める。海外でのセミナーや国際学会、海外大学への短期留学などでジャンルに囚われない幅広いスキルを磨き、外科・腫瘍・皮膚等の専門的で総合的な治療を提供する。

監修者情報

▼略歴

  • 麻布大学 獣医学科卒業(学業成績優秀者)
  • 千葉県 中核の動物病院にて勤務医
  • 神奈川県 外科認定医・整形専門病院にて勤務医
  • 専門病院にて一般外科・整形外科に従事
  • 日本小動物がんセンター 研修医


▼所属学会・資格

犬のパテラ「グレード2」はどのような状態か?

犬のパテラ「グレード2」はどのような状態か?

犬のパテラにおけるグレード2は、膝蓋骨(ひざのお皿)が普段は正しい位置にあるものの、外れやすくなっている状態を指します。軽く足を動かしたり走ったりするだけで膝が外れてしまうことがありますが、自然に元に戻ることも少なくありません。

症状としては、歩いている途中で突然「ケンケン」するように片足を浮かせ、その後すぐにまた普通に歩き出す動作が典型的です。

頻度が低い場合は痛みも軽度であり、飼い主が見過ごしてしまうこともあります。しかし、繰り返すうちに関節に負担がかかり、関節炎や歩行の異常が慢性化してしまうリスクがあります。

犬のパテラのグレード分類についてはこちら

犬のパテラ「グレード2」は手術なしで治ることはある?

グレード2のパテラが、完全に自然治癒することはありません

しかし、症状の程度や生活環境によっては、手術をせずに管理できるケースがあります

たとえば、以下のような対策で症状がほとんどなくなることもあります。

  • 体重管理で膝への負担を減らす
  • 筋肉トレーニングやリハビリで太ももの筋力を強化する
  • 滑りにくい床材を使用するなどの生活改善を行う

特に、跛行(片足を引きずる症状)が軽度で日常生活に支障がない場合や、まだ成長期にあり筋力がつくことで安定しやすい若い犬では、保存療法が有効に働くことがあります。

犬のパテラ「グレード2」で手術が必要なケース

犬のパテラ「グレード2」で手術が必要なケース

犬のパテラはグレード2でも、跛行(片足を引きずる症状)が繰り返し見られる場合は手術が必要です。特に散歩や遊びの最中に足を上げる動作を繰り返すようであれば、痛みや膝関節への負担が進行しているサインといえます。

また、骨や関節に二次的な変化が出ている場合も手術が推奨されます。レントゲンで骨の変形や関節炎が確認されたときには、進行を抑えるために早めの外科的対応が望まれます。

また、以下のような行動変化で日常生活に支障をきたしている場合も、手術の目安になります。

  • 階段の上り下りを嫌がる
  • 走るのを避ける

パテラのグレード2は必ずしも即手術ではありませんが、症状の頻度や関節の変化によって治療方針が大きく変わります。気になる症状が続く場合は、早めに獣医師にご相談ください。

犬のパテラ「グレード2」の手術費用の目安

犬のパテラ「グレード2」の手術費用の目安
  • 手術そのものの費用目安:20万円〜40万円程度
  • トータルの費用目安:25万円〜50万円程度

一般的に手術そのものの費用は20万円〜40万円程度が目安です。手術内容や麻酔の方法、入院日数によっても大きく変動します。

また、手術費用以外にもかかる費用がある点に注意が必要です。術前には血液検査やレントゲン検査、場合によっては心臓のエコー検査などの全身チェックが行われ、これらで1万〜3万円程度の追加費用が発生することがあります。

さらに、術後は入院管理料や鎮痛剤・抗生剤などの薬代が必要となり、退院後も抜糸や経過観察、リハビリ通院が数回必要になるケースもあります。

つまり、手術費用そのものに加え、トータルで25万円〜50万円程度を見込んでおくと安心です。

パテラ「グレード2」と診断された愛犬の散歩はどうする?

パテラ「グレード2」と診断された愛犬の散歩はどうする?

愛犬がパテラのグレード2の場合でも、基本的には散歩をして問題ありません

ただし、長時間の散歩や階段・坂道など、膝に負担をかけやすい環境は避けましょう。アスファルトよりも芝生や土の柔らかい地面の方が関節には優しく、愛犬にとっても歩きやすいです。また、急なダッシュやジャンプ遊びは膝に強い衝撃を与えるため、控えるのが安心です。

犬のパテラ「グレード2」は一度治っても再発する?

犬のパテラ「グレード2」は一度治っても再発する?

パテラのグレード2となった場合、保存療法(運動制限やサプリメント、体重管理)で症状が落ち着いた場合でも、筋力の低下や生活習慣によって再度外れやすくなることがあります。また、外科手術を受けた場合でも、体重の増加や術後のリハビリ不足、滑りやすい床環境などが影響し、再発のリスクが残ることがあります。

再発を防ぐためには、日常生活での工夫が非常に大切です。まずは体重を適正に保ち、膝への負担を減らすことが基本です。さらに、滑りにくい床材やマットを敷くことで、転倒や膝のねじれを防ぐことができます。適度な運動やリハビリを通じて太ももの筋肉を鍛えることも、膝を安定させるうえで効果的です。

治療後も「治ったから安心」とせず、定期的な健診で膝の状態を確認することが再発防止につながります。

まとめ

まとめ

犬のパテラ「グレード2」は自然に治ることはありませんが、体重管理や筋力トレーニング、生活環境の工夫によって症状を和らげ、日常生活に支障をきたしにくくすることが可能です。ただし、跛行が繰り返される、関節に炎症や変形が見られるといった場合には、外科手術が必要になることもあります。

なお、パテラは専門性の高い診療分野であり、適切な判断や治療を受けるためにはパテラに強い動物病院を受診することが大切です。愛犬の症状や生活の様子に応じて、専門医と相談しながら最適な方法を選んでいきましょう。