猫の肝臓腫瘍は、発生頻度こそ稀であるものの、無症状のまま深刻な状態まで進行することのある怖い病気です。
ここでは、猫の肝臓腫瘍とはどのような病気か詳しく解説します。
| 猫の肝臓腫瘍は、手術が可能な状態であれば、早期の手術で大幅な延命につながるケースもあります。また、仮に末期と診断された場合でも、適切な緩和治療によって苦痛を和らげてあげることが可能です。猫の肝臓腫瘍について不安や迷いがある場合は、犬猫の腫瘍にて1000症例を超える治療実績がある当院にご相談ください。 |
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この記事の監修者
上野雅祐
上池台動物病院の院長を務める。海外でのセミナーや国際学会、海外大学への短期留学などでジャンルに囚われない幅広いスキルを磨き、外科・腫瘍・皮膚等の専門的で総合的な治療を提供する。
- 監修者情報
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▼略歴
- 麻布大学 獣医学科卒業(学業成績優秀者)
- 千葉県 中核の動物病院にて勤務医
- 神奈川県 外科認定医・整形専門病院にて勤務医
- 専門病院にて一般外科・整形外科に従事
- 日本小動物がんセンター 研修医
▼所属学会・資格- 日本獣医がん学会
- 日本獣医画像診断学会
- 日本小動物歯科研究会
- 日本獣医麻酔外科学会
- 日本獣医循環器学会
- 日本獣医皮膚科学会
- 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種
- ヒルズ栄養学コース修了
- Royal Canin Canine and Feline Clinical Nutrition Course修了
- 日本小動物歯科研究会 歯科レベル2
- 日本小動物歯科研究会 歯科レベル4
目次
猫の肝臓腫瘍(肝臓癌)とは

猫の肝臓腫瘍とは、その名の通り肝臓に発生する腫瘍(癌)のことです。全腫瘍の中では、1〜3%と稀な腫瘍です。
猫では原発性(肝臓で最初に発生するもの)の肝臓腫瘍が多く、転移性腫瘍が多い犬とは対照的です。
発症年齢は約2〜15歳と言われており、腫瘍の種類や発生の仕方によって予後は大きく異なります。
肝臓腫瘍(肝臓癌)になった猫の余命についてはこちら
猫の肝臓腫瘍の症状

猫の肝細胞(肝臓の主要な細胞)に生じる腫瘍は小さいことも多く、無症状なことも多いです。
ただし、全ての腫瘍が小さいというわけではなく、触って分かるくらい大きな腫瘍を形成することもあります。大きな腫瘍となった場合、食欲不振や体重減少などの非特異的な症状を示すこともあります。
また、腫瘍が大きくなった場合や腹水が出ている場合は、お腹の中の臓器を圧迫し、嘔吐や下痢などの消化器症状を示すこともあります。
猫の肝臓腫瘍の種類

猫の肝臓腫瘍は、周囲に広がる性質・体の別の場所へ移る性質を持つかどうかで、良性と悪性に分けられます。
良性の肝臓腫瘍
良性の肝臓腫瘍は、悪性に比べてゆっくり進行するのが特徴です。良性腫瘍の中で1番多いのは胆管細胞腺腫(胆汁の通り道にできる腫瘍)であり、肝胆道系の腫瘍の50%を占めると言われています。
胆管細胞腺腫であれば、孤立性(1か所だけに存在している状態)だけでなく多発性(1か所ではなく複数の場所に同時に存在している状態)でも手術の適応となることがあり、予後は良好と言われています。
良性腫瘍は他にも肝細胞腺腫(肝細胞そのものから発生する腫瘍)や、分類としては腫瘍ではありませんが結節性過形成といわれる正常な組織が増殖してしまう疾患などもあります。
悪性の肝臓腫瘍
悪性腫瘍の中でもっとも多いのは胆管細胞癌(胆管の細胞から発生する腫瘍)です。胆管細胞癌は非常に進行が早く、67〜80%で転移が認められます。腹膜や肺、局所リンパ節への転移が多いとされています。
塊状の胆管細胞癌であれば手術の適応となり得ますが、再発や遠隔転移率が高く、予後は半年程度と言われています。
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猫の肝臓腫瘍の原因

猫の肝臓腫瘍の原因は、残念ながら解明されていません。傾向としては、高齢の猫に多いとされています。
猫の肝臓腫瘍の検査方法

猫の肝臓腫瘍を疑う場合、以下のような検査を実施します。
- 血液検査
- レントゲン検査
- 腹部超音波検査
- 細胞診
- CT検査
それぞれ詳しく解説します。
血液検査
腫瘍を疑う場合や、元気・食欲が低下しているなど、何かしらの不調が認められている場合には、まず血液検査を行うことが多いです。
肝臓腫瘍の場合、肝数値の上昇や貧血、血小板減少などが見られます。また、非常に大きな腫瘤を形成する場合には低血糖になることもありますが、これらは非特異的な所見なため、血液検査のみでの確定診断は難しいと考えられます。
レントゲン検査
レントゲン検査では、腫瘍によって肝臓が腫大している所見が認められたり、腫瘍そのものが見えたりすることもあります。
胆管細胞癌では、まれに胆管の石灰化がレントゲンに写ることもあります。
また、肺など他の臓器への転移がないかどうかの確認のために、腹部だけでなく胸部のレントゲンも撮影することが一般的です。
腹部超音波検査
腹部超音波検査は、一般状態が低下しているときや、腫瘍を疑う場合、血液検査で肝臓数値の上昇が認められた場合などに一般的に行う検査です。腫瘍の位置や大きさ、数などを確認します。
胆管癌では広範囲の虫食い像や、肝実質内に多発する小腫瘤として描出されることがあります。
後述の細胞診を実施する場合は、針を刺すことができる位置に腫瘍があるかどうかなども事前に腹部超音波検査で確認しておく必要があります。
細胞診
細胞診とは、腫瘍に針を刺して細胞を採取する検査です。
肝臓腫瘍における細胞診は、肝臓原発の病変なのか、その他リンパ腫など他の腫瘍の転移病巣なのかの鑑別が可能です。しかし、肝臓腫瘍の中でどの種類の腫瘍なのかの確定診断は困難なことが多いです。
細胞診は、大人しい猫ちゃんであれば無麻酔下で実施できるというメリットがあります。しかし、肝臓の細胞針は他の臓器に比べて出血のリスクが高いため、実施前には血液凝固系の検査などが必要です。
CT検査
CT検査では、腫瘤の位置や浸潤範囲、腹部の大きい血管や肝臓内の脈管との位置関係、リンパ節浸潤、転移の有無などを3次元的に評価することができます。
そのため手術前には必ずCT検査を行い、転移がないかどうか、手術でどの範囲を切除するかなどを判断します。
猫の肝臓腫瘍の治療方法

猫の肝臓腫瘍には、以下のような治療方法があります。
- 外科手術
- 抗がん剤
- 放射線治療
それぞれ詳しく解説します。
外科手術
猫の肝臓腫瘍は、基本的には外科手術による治療がほとんどです。
肝細胞腫瘍は、塊状の場合には完全切除できれば予後は良好と言われています。CT検査によって腫瘤の浸潤範囲や血管との位置関係、転移の有無などを精査して手術適応かどうかを判断します。
肝臓腫瘍の手術は出血リスクが高いため、猫ちゃんの状態によっては輸血が必要になることもあります。
抗がん剤
肝臓腫瘍は基本的には外科手術による治療がほとんどですが、腫瘍の種類によっては抗がん剤が適応になることもあります。
抗がん剤治療を進める場合、肝臓腫瘍の細胞診などを行い事前に腫瘍の種類の診断をつけたうえで、適切な抗がん剤の選択が必要になります。
放射線治療
放射線治療も肝臓腫瘍の選択肢としてありますが、元々肝臓自体が放射線の感受性が高く、腫瘍組織のみに放射線を照射するには高精度な装置が必要になります。そのため、治療できる施設が限られてしまうことがあります。
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猫の肝臓腫瘍は治療しないとどうなってしまうのか

猫の肝細胞腫瘍は進行が比較的ゆっくりで、転移することも稀と言われていますが、手術を行わずに腫瘍が大きくなってしまうと、腫瘍が胃を圧迫して食欲不振や嘔吐などにつながることがあります。また、さらに腫瘍が大きくなると重度な低血糖を引き起こしたり、自然破裂による腹腔内出血が生じたりするケースも見られます。
年齢や併発疾患など治療リスクを考慮する必要はありますが、手術適応であれば無症状であっても可能な限り早期の手術が推奨されます。
猫の肝臓腫瘍の予防方法

定期的に健康診断を受け、肝数値のチェックや超音波検査で腫瘍の有無を確認しましょう。猫の肝臓腫瘍は初期だと症状が出ず、自宅では気づきにくいためです。
腫瘍が小さく、猫ちゃんの体調が悪くなる前に早期発見ができれば、手術を実施できる可能性も高くなります。
少しでも元気がないときや、気になることがあるときはもちろんですが、健康な子でも定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
まとめ

猫の肝臓腫瘍は発生頻度としては稀ですが、初期は症状が出にくく、気づいた時には進行していることもある病気です。良性・悪性で治療方針や見通しが大きく変わるため、血液検査や超音波、必要に応じて細胞診・CTで腫瘍の性質と広がりを早めに確認し、手術など最適な治療を判断することが重要です。
「検査をどこまで進めるべきか」「手術が可能か」など迷いがある場合は、犬猫の腫瘍で1000症例を超える治療実績がある上池台動物病院にご相談ください。
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