「犬の乳腺腫瘍は良性なら放置しても大丈夫?」
「手術は逆に体に負担をかけそうだから、自然治癒するものならこのまま見守りたい」
このようにお考えの飼い主さんもいるでしょう。
結論からいうと、犬の乳腺腫瘍を放置するのは危険です。
この記事では、犬の乳腺腫瘍を放置するとどうなるのかを解説します。最後まで読めば、愛犬が危険な状態になる前に行動するきっかけとなるでしょう。
なお当院には、犬の乳腺腫瘍において数多くの治療実績があります。少しでも違和感がある場合は放置せず、まずはご相談ください。
当院の腫瘍治療について
目次
犬の乳腺腫瘍は良性でも放置は危険
犬の乳腺腫瘍は放置すると徐々に悪性に転化する可能性が増していくため、放置することは危険です。
以下の写真は、犬の乳腺腫瘍が良性から悪性に転化し、危険な状態まで大きくなった状態です。
ここまで大きくなると、命の危険にかかわる可能性もあり、手術の難易度も上がります。
「ここまでなら放置してもよい」という明確な基準はないので、早めに病院を受診するようにしましょう。
以下の動画では、当院で実際にあった乳腺腫瘍の症例や治療についてご紹介しています。こちらも合わせてご覧ください。
※当該部分(9:42~)から再生されます
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犬の乳腺腫瘍が良性かどうか見分けるには?大きさや成長速度が基準となる
犬の乳腺腫瘍が良性の場合の特徴は、以下の通りです。
観点 | 良性の場合 |
---|---|
腫瘍の大きさ | 1cm以下 |
腫瘍の成長速度 | 1ヶ月単位で観察したとき、 ほとんど成長が見られない |
腫瘍の見た目 | 周囲の皮膚の色とほとんど変わらない |
上記の場合は良性の可能性が高いものの、実際は素人が見分けるのは難しいでしょう。
一見すると大きさに変化が見られない場合でも、長期的には成長していき、悪性に転化する可能性があります。
「お腹にしこりがあるけど、おそらく良性だから大丈夫」という自己判断は危険です。
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犬の乳腺腫瘍が悪性だった場合、手術しないで放置したらどうなる?最終的には死にいたる
乳腺腫瘍が悪性の場合、腫瘍自体が徐々に増大し、表面が自壊して出血や膿を伴うようになります。日常生活での管理は難しいでしょう。
▼乳腺腫瘍の表面が自壊した状態
同時に、他の臓器やリンパ節への転移も見られ、特に肺への転移が起こると呼吸がしにくくなり、最終的には呼吸困難となり死に至ります。
犬の乳腺腫瘍はどれくらい大きくなったら危険?3cm以上から生存期間が短くなる
一般的に、犬の乳腺腫瘍は直径3cm以上になると生存期間が短縮する傾向にあり、5cm以上となると極端に短縮します。
逆に3cm未満の場合では、生存期間は延長する傾向にあり再発率も抑えられます。
ただし、サイズに限らずリンパ節への転移が認められる場合では生存期間は短縮します。
犬の乳腺腫瘍の末期症状
乳腺腫瘍が未処置のまま進行した場合、腹部の腫瘍の数は増え、その一つ一つのサイズが大きくなります。それらがある程度大きくなると、一部が自壊し出血や膿を伴うようになります。
複数ある腫瘍の一部のみが巨大化して、かなりのサイズに達することもあるでしょう。
転移はリンパ節や肺、骨、肝臓、腎臓、脾臓などに起こる可能性があり、転移した臓器の障害によりさまざまな症状がみられるようになります。
例えば、肺であれば徐々に呼吸状態の悪化がみられたり、腹腔内臓器であれば嘔吐や下痢などの消化器症状がみられたりして、最終的には酸素欠乏や衰弱により死に至ります。
転移は一ヶ所のみに起こるものではありません複数転移の場合にはさまざまな症状が複合的にみられるようになります。
【まとめ】犬の乳腺腫瘍は良性でも放置せず治療を受けさせよう
犬の乳腺腫瘍を放置すると、悪性に転化する可能性が増します。最終的には他の臓器にも転移し、死に至る可能性もあります。
放置すればするほど手術での延命が難しくなるリスクがあるため、少しでも違和感がある時点で病院に相談することが大切です。
当院には、犬の乳腺腫瘍において数多くの治療実績があります。腫瘍治療に特化した専門医が在籍していますので、まずはお気軽にご相談ください。
当院の腫瘍治療について