「愛猫のお腹に乳腺腫瘍のようなしこりがあるけど、とても小さいし良性かな?」
「乳腺腫瘍でも良性なら放置して大丈夫?」
このように考える飼い主さんも多いでしょう。
この記事では、猫の乳腺腫瘍における良性とはどのような状態かを解説します。
結論からいうと、猫の乳腺腫瘍はそのほとんどが悪性であり、かつ良性・悪性を見た目や症状から見分けるのは困難です。
少しでも違和感がある場合は、腫瘍専門医が在籍する当院までご相談ください。
当院の腫瘍治療について
目次
猫の乳腺腫瘍における良性とは?周囲組織への浸潤や転移などがない状態
猫の乳腺腫瘍における良性とは、腫瘍細胞が増殖はするものの、周囲組織への浸潤や転移などがない腫瘍のことです。また良性の乳腺腫瘍は、増殖スピードがゆっくりです。
悪性腫瘍となると、周囲に浸潤しながら増殖し、リンパ節や肺への転移も高確率で生じるようになります。
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猫の乳腺腫瘍が良性である確率は1%程度
結論からいうと、猫の乳腺腫瘍が良性である確率はわずか1%程度です。
猫の乳腺腫瘍は、悪性の確率が85%〜95%とされています。
悪性腫瘍以外の約5%〜15%のほとんどは、乳腺の過形成とされています。過形成とは細胞が正常な形や配列を保ったまま増殖することをいい、過形成は非腫瘍性の病変とされています。
悪性腫瘍と過形成を除いた、残りの1%程度が猫における良性の乳腺腫瘍の発生確率とされています。
ちなみに、犬の乳腺腫瘍は約50%が良性とされており、これと比較しても猫の乳腺腫瘍が良性であるのは非常に稀だということが分かります。
猫の乳腺腫瘍が良性の場合の特徴
猫の乳腺腫瘍が良性の場合の特徴を、以下の3つの観点から見ていきましょう。
- 見た目
- 症状
- 普段の様子
見た目
猫の乳腺腫瘍が良性か悪性かは、見た目だけでは判断できません。
乳腺腫瘍の見た目は、乳腺部分に小さな硬いしこりのようなものができることが一般的です。良性腫瘍の場合は、このしこりがゆっくりと成長し、他の組織にまで広がることはありません。
症状
猫の乳腺腫瘍が良性の場合、お腹の辺りにしこりがあるのみで、元気・食欲の低下や下痢嘔吐などの全身症状は見られないことがほとんどです。
しかし、猫の乳腺腫瘍は悪性でも、ほとんどの場合無症状のまま進行し、腫瘍の自壊や全身転移などを生じて初めて痛みや呼吸促迫などの症状がでます。
そのため、臨床症状から良性の乳腺腫瘍に気付くことは難しいと言えます。
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普段の様子
良性の乳腺腫瘍はほとんどの場合、腫瘍のサイズが小さいため、猫ちゃん自身も特に違和感がなく、お腹を気にして舐めるなど普段と違う行動をすることはほとんどありません。
注意深くお腹を触って、初めて乳腺付近にしこりがあることに気付く場合がほとんどで、普段の様子の変化から乳腺腫瘍を発見することは困難と言えます。
そのため、普段から猫ちゃんとスキンシップをはかり、お腹のできものにいち早く気付けるようにすることが何よりも大切です。
猫の乳腺腫瘍が良性か悪性かを判断する検査
猫の乳腺腫瘍が良性か悪性かの判断は、臨床症状や細胞診のみでは困難で、正確な診断には病理組織学検査が必要です。
病理組織学検査とは、全身麻酔をかけて手術で腫瘍の摘出や生検を行い、その細胞の形態を顕微鏡で観察する検査です。
病理検査において悪性腫瘍の場合、細胞や組織の異型、多数の有糸分裂像、壊死、脈管浸潤などがみられます。
これらの所見がみられず、他の組織への浸潤や転移がないと判断された場合に、良性腫瘍と診断されます。
猫の乳腺腫瘍は良性なら放置しても大丈夫?そのままにするのは危険
猫の乳腺腫瘍は良性の場合、腫瘍サイズが小さいことが多いですが、中には腫瘍が大きくなり自壊してしまうこともあります。
良性から悪性に転化してしまう可能性もあるため、放置せずに治療することが重要です。
また、乳腺腫瘍は見た目では良性か悪性かは判断できず、さらに猫ではほとんどが悪性となるため、乳腺腫瘍が疑われる場合は早期に検査や治療を行う必要があります。
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猫の乳腺腫瘍が良性の場合に行う治療
猫の乳腺腫瘍の治療は、基本的には外科手術となります。猫の場合は、腫瘍を含めて乳腺を全て切除することが一般的です。
このとき、腫瘍のある片側の乳腺を全部切除するのか、左右の両側全部の乳腺を切除するのかは、腫瘍の位置や大きさによって変わります。
ただし、良性腫瘍と確定診断ができていて、サイズも小さい場合は、腫瘍周囲の一部の切除で済む場合もあります。
良性・悪性に関わらず、早期に治療することでより負担の少ない手術方法を選択することが可能です。
乳腺腫瘍は早期発見・早期治療が何よりも大切なので、お腹にできものを見つけた場合は一度診察を受けましょう。
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猫の乳腺腫瘍は良性・悪性にかかわらず早期発見・早期治療が大切
猫の乳腺腫瘍における良性とは、腫瘍細胞が増殖はするものの、周囲組織への浸潤や転移などがない腫瘍のことです。
しかし実際のところ、良性である確率はわずか1%程度と非常に稀とされています。乳腺腫瘍=悪性と考え、すぐにでも病院に連れていくのが最善です。
「うちの猫ちゃんが乳腺腫瘍かも」と不安な場合は、当院にご相談ください。腫瘍認定医による精度の高い診察と、適切な治療の提案が可能です。
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