たとえ愛猫が悪性リンパ腫になったとしても、長生きを望む気持ちは飼い主として当然のことです。
この記事では、悪性リンパ腫になった猫は長生きできるのか?について解説していきます。
猫が悪性リンパ腫を発症した場合、残念ながら長生きは難しいですが、少しでも長く・穏やかな予後とするためにできることはあります。「まだ諦めたくない」「最善の手段を尽くしたい」という気持ちが少しでもあるなら、犬猫の腫瘍にて1000症例を超える治療実績を誇る当院にご相談ください。 |
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大阪府大阪市鶴見区放出東2丁目19-8
この記事の監修者

上野雅祐
上池台動物病院の院長を務める。海外でのセミナーや国際学会、海外大学への短期留学などでジャンルに囚われない幅広いスキルを磨き、外科・腫瘍・皮膚等の専門的で総合的な治療を提供する。
- 監修者情報
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▼略歴
- 麻布大学 獣医学科卒業(学業成績優秀者)
- 千葉県 中核の動物病院にて勤務医
- 神奈川県 外科認定医・整形専門病院にて勤務医
- 専門病院にて一般外科・整形外科に従事
- 日本小動物がんセンター 研修医
▼所属学会・資格- 日本獣医がん学会
- 日本獣医画像診断学会
- 日本小動物歯科研究会
- 日本獣医麻酔外科学会
- 日本獣医循環器学会
- 日本獣医皮膚科学会
- 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種
- ヒルズ栄養学コース修了
- Royal Canin Canine and Feline Clinical Nutrition Course修了
- 日本小動物歯科研究会 歯科レベル2
- 日本小動物歯科研究会 歯科レベル4
目次
悪性リンパ腫になった猫は長生きできる?残念ながら難しい

猫が悪性リンパ腫を発症した場合、残念ながらほとんどは長生きすることができません。無治療だと1〜2ヶ月以内には亡くなる可能性が高いです。
治療を行って反応が良い場合には、半年以上の余命が見込めます。しかし治療を行った場合でも、1年以上長生きできる猫はそう多くはありません。
猫のリンパ腫とはどのような病気か?についてはこちら
悪性リンパ腫になった猫に奇跡が起こることはあるのか?

猫の悪性リンパ腫は治療を行っても完治することは稀であり、たとえ治療が上手くいったとしても、その後に長い寿命となる猫はほんのわずかです。
リンパ腫には、寛解という考え方があります。寛解とは、治療を行うことで腫瘍が小さくなる、あるいは臨床症状(がんの影響で出た症状)が改善した状態を指します。
腫瘍が完全に消失し、検査でも異常が認められない状態を完全寛解といいます。完全寛解した場合は、臨床症状が完全に消失し、猫は元気になります。再発しなければ、長期的な予後が期待できます。
腫瘍が完全に消失はしないものの、小さくなって臨床症状が改善した状態を部分寛解といいます。部分寛解は、腫瘍が完全に消失したわけではないので、再発のリスクは高いです。しかし、部分寛解の状態を維持し続けることで寿命を伸ばすことは可能です。
猫の悪性リンパ腫は長期的な予後が難しく、生存期間が短い傾向にありますが、早期発見して適切な治療を受けることができれば、寛解を維持し続けることが可能です。
部分的な寛解、あるいは完全寛解をいかに長期間維持することができるか管理していくことが、猫の悪性リンパ腫の最大の目的とも言えます。
リンパ腫になった猫が死ぬ前に見せるサインについてはこちら
悪性リンパ腫になった猫を少しでも長生きさせるには

愛猫に悪性リンパ腫が見つかった場合には、治療をすぐ開始して、部分寛解や完全寛解を目指しましょう。寛解を維持し続けていくことが、長生きにつながります。
猫の悪性リンパ腫は、抗がん剤治療が比較的良く効きます。抗がん剤治療を軸として、臨床症状に対する対症療法(皮下点滴や注射、強制給餌などで体力を上げる治療)も並行して行うのが理想です。
抗がん剤使用後には、副作用(消化器症状や骨髄抑制、膀胱炎など)にも注意して治療を行います。
猫のリンパ腫に対する緩和ケアについてはこちら
悪性リンパ腫が長生きした当院の症例

軟便と嘔吐を主訴に来院した高齢猫
16歳の日本猫が、治りづらい軟便を主訴に来院しました。
初期は対症療法によって一時的に改善が見られたものの、その後再発。嘔吐の症状も伴っていたため、腹部超音波検査を実施したところ、結腸の肥厚とともに腹腔内リンパ節の腫大が確認されました。
消化器型リンパ腫と診断、抗がん剤治療を開始
速やかにFNA(穿刺吸引細胞診)を行い、消化器型リンパ腫と診断。ステロイド、L-アスパラキナーゼ、ビンクリスチン、シクロフォスファミドによる多剤併用化学療法を開始しました。
寛解に至るも、治療は一時中断に
治療の効果は良好で、1か月後には腸壁の肥厚が軽減。腹腔内リンパ節も徐々に縮小し、部分寛解が得られました。
さらに2か月後にはリンパ節の腫大が完全に消失し、嘔吐も見られなくなり、完全寛解に至ります。
しかし、抗がん剤投与後に嘔吐の頻度が増加したため、治療は一時中断となりました。
再発と再治療、そして方針の転換
その後、約2か月を経て腹腔内リンパ節の再腫大が確認され、抗がん剤治療を再開。再発時も前回と同様の治療を行い、再び部分寛解まで回復しました。しかし今回は副作用が強く、嘔吐や食欲不振が顕著であったことから、抗がん剤の投与期間は大幅に短縮せざるを得ませんでした。
以降は、週2〜3回の皮下点滴、栄養剤の注射、ステロイドや食欲増進剤の使用など、対症療法を中心としたサポートへと治療方針を変更。こうしたケアにより、半年以上にわたり体調を維持することができました。
最期の経過とお別れ
しかし、最終的には胸水の貯留が見られ、腹腔内リンパ節の腫大も認められました。さらに黄疸の出現を契機に急激な体調悪化が進行し、飼い主様には至急来院いただきましたが、来院時にはすでに呼吸が停止しており、そのまま亡くなってしまいました。
その子に合わせた治療方針が、長期の予後につながる
抗がん剤治療には、治療期間や使用する薬剤の種類・投与量など、おおよその指針があります。しかしながら、副作用の出方や体調の変化、がんの進行状況は一頭ごとに異なるため、獣医師と相談しながら、その子に合った柔軟な治療を進めていくことが大切です。
この猫ちゃんも、はじめは定められたスケジュールで抗がん剤治療を受けていましたが、途中で副作用が強く現れたため、飼い主さんと話し合いのうえ、治療を一時中断することになりました。
それでも、通院による対症療法は継続していただき、根気強くサポートを続けてくださいました。そのおかげもあり、治療開始から完全寛解や部分寛解を繰り返しながら、1年以上にわたってよく頑張ってくれました。
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まとめ

猫が悪性リンパ腫を発症した場合、残念ながら長生きは難しく、1年以上生きられるケースはそう多くありません。
しかし、その子に合った適切な治療を進められれば、場合によっては1年以上生きられるケースもあります。最善な治療を施すことは、長生きという観点だけでなく、穏やかで苦痛の少ない余生とすることにもつながります。
猫の悪性リンパ腫に対して、少しでも長生きにつながる選択をしたい場合は、犬猫の腫瘍にて1000症例を超える治療実績を誇る当院にご相談ください。他院の治療にて良好な反応が得られなかった場合でも、腫瘍専門医によるセカンドオピニオンが可能です。
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