大田区・西馬込駅で動物病院なら上池台動物病院

コラム COLUMN

GS-441524とは?猫のFIPに対する有効性や適切な投与方法を解説

更新日:2025年6月29日  公開日:2025年6月29日

GS-441524とは?猫のFIPに対する有効性や適切な投与方法を解説

GS-441524は猫のFIPにおいて代表的な薬であり、その名前を聞いたことがある方も多いでしょう。一方、「どんな薬なの?」「未承認と聞いたけど、危険性はない?」と考える方もいるかもしれません。

この記事では、GS-441524とはどのような薬かを紹介します。

GS-441524は猫のFIP治療に有効な薬ですが、正しい判断・対応のもとで投与されなければ、命を救える保証はありません。FIPの治療を進める際は、治療相談700件超え、改善率95%の実績を誇る当院にご相談ください。

FIPの疑いがあるなら
治療相談700件超え
改善率95%、再発率1%
上池台動物病院へ

全国6院 お近くの病院を見る

東京都大田区上池台5丁目38−2

神奈川県横浜市南区永田台1−2

静岡県沼津市大岡900−3

愛知県名古屋市中区大須1丁目35−42

大阪府大阪市港区弁天1丁目4−9 第3柴田ビル 104

大阪府大阪市鶴見区放出東2丁目19-8

インスタグラムアイコン youtubeアイコン

この記事の監修者

上野雅祐

上池台動物病院の院長を務める。海外でのセミナーや国際学会、海外大学への短期留学などでジャンルに囚われない幅広いスキルを磨き、外科・腫瘍・皮膚等の専門的で総合的な治療を提供する。

監修者情報

▼略歴

  • 麻布大学 獣医学科卒業(学業成績優秀者)
  • 千葉県 中核の動物病院にて勤務医
  • 神奈川県 外科認定医・整形専門病院にて勤務医
  • 専門病院にて一般外科・整形外科に従事
  • 日本小動物がんセンター 研修医


▼所属学会・資格

GS-441524とは

GS-441524とは

GS-441524は、ヌクレオシドアナログと呼ばれるタイプの薬で、猫のFIPウイルスに対する抗ウイルス効果が認められています。

ヌクレオシドアナログにウイルスの合成を止める効果があるのは、ウイルスが遺伝子合成を行う際に必要な材料となる物質と、ヌクレオシドアナログの構造が類似しているためです。構造が似ているがゆえに、ウイルスの増殖のときにヌクレオシドアナログが誤って取り込まれることで、合成を止めることができます。

▼関連記事
FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?症状・うつる経路・治療費の相場などを解説

GS-441524が猫のFIP治療で用いられるまでの背景

GS-441524が猫のFIP治療で用いられるまでの背景

GS-441524はもともと、エボラウイルス治療の研究過程で開発された治療薬候補の1つです。その後、エボラウイルス治療の薬としての承認は受けられませんでしたが、新型コロナウイルスの流行によりあらためて注目されるようになりました。

新型コロナウイルスとの類似性から、FIPウイルスへも適用した研究が行われるようになり、効果が実証され、治療薬として使用されるようになりました。

▼関連記事
猫コロナウイルスとは?症状や治療法は?感染経路やFIPとの関係も解説

猫のFIPに対するGS-441524の有効性

病院で検査する猫

GS-441524についてはさまざまな研究がなされていますが、いずれの研究でもFIPの寛解率はおよそ8〜9割程度です。治療薬が存在しなかったときには100%亡くなる病気であったことを考えると、劇的な治療効果といえます。

多くの症例では治療開始後、早期にウイルス増殖が抑えられることで症状が劇的に改善します。しかし、投薬開始時にすでに状態がかなり悪い子や、血中のビリルビン値が高い子については、予後が悪いため注意が必要です。

【参考】

GS-441524(GS製剤)とモルヌピラビルの違い

GS-441524(GS製剤)とモルヌピラビルの違い

GS-441524もモルヌピラビルも、同じヌクレオシドアナログと呼ばれる種類の薬です。前述通り、ウイルスの遺伝子合成の際に使われる材料によく似た構造をしています。

しかし、作用機序と投与方法が以下のように異なります。

作用機序投与方法
GS-441524遺伝子の中に誤って組み込まれると、その部分で合成が止まり、それ以上ウイルスが合成されなくなる。経口薬と注射薬
→それぞれ病状に合わせて投与方法を変えることができる
モルヌピラビル遺伝子の中に組み込まれると、合成自体は継続されるが、誤った遺伝子が合成される。結果として、誤った情報だらけになり、ウイルスの遺伝子が崩壊して増殖が継続できなくなる。経口薬のみ
→特に消化器症状の出ている場合には吸収されにくい可能性がある

モルヌピラビルはGS-441524の半分以下の費用であることから、費用面がネックで治療を進められないときに選択されるケースがあります。ただし、まとまった数の症例報告はなく、特に長期間継続的に投与を行った場合の副作用については明確なデータがありません。

GS-441524とモルヌピラビルのどちらを選択するかは、獣医師としっかり相談してから判断しましょう。

▼関連記事
モルヌピラビルは猫のFIPに有効?費用や適切な投与方法についても解説

GS-441524(GS製剤)で猫のFIPを治療する際の流れ

GS-441524(GS製剤)で猫のFIPを治療する際の流れ

GS製剤では注射での投与が可能なため、特に状態が悪く経口投与が難しい子や、消化器症状を示していて経口投与での吸収が悪いことが予想される子に使用することが多いです。

投与期間は他の薬剤と同様、84日間です。治療開始後は投薬を続けながら定期的な血液検査やエコー検査などを実施し、84日時点で投薬終了可能な基準を満たしていれば治療終了となります。

この時点で検査数値が基準に満たない場合には、延長治療を実施します。数値の改善がみられるか一定期間投薬を続けて、問題なければ治療を終了して経過観察となります。

経過観察は3ヶ月間行い、月1回の検査で特に問題なく3ヶ月過ごせれば、完全寛解となります。

FIPの疑いがあるなら
治療相談700件超え
改善率95%、再発率1%
上池台動物病院へ

全国6院 お近くの病院を見る

東京都大田区上池台5丁目38−2

神奈川県横浜市南区永田台1−2

静岡県沼津市大岡900−3

愛知県名古屋市中区大須1丁目35−42

大阪府大阪市港区弁天1丁目4−9 第3柴田ビル 104

大阪府大阪市鶴見区放出東2丁目19-8

GS-441524(GS製剤)を猫に投与した場合の副作用

GS-441524(GS製剤)を猫に投与した場合の副作用

主な副作用として認められるものは、脱毛や耳介の変形(いわゆる耳折れ)です。これらは比較的多くの治療中の猫にみられますが、通常は投薬終了後に回復します。

その他に、行動の変化、興奮、下痢や嘔吐などが認められることもあります。血液検査では、リン、尿素窒素、肝数値の上昇が認められることもありますが、いずれも重度の上昇ではなく、投薬終了と同時に低下していきます。

基本的にはウイルスの増殖に対してのみ効果のある薬なので、状態が悪くなるような副作用が出ることは少ないです。

個人輸入でGS-441524(GS製剤)を入手し自身で投与する危険性

個人輸入でGS-441524(GS製剤)を入手し自身で投与する危険性

個人輸入の一番の問題は、本当に正しい成分が含まれているかどうかが分からないことです。

成分が病気にまったく効果のないものだと病気は治せないうえに、下手をすると逆効果になってしまう可能性もあります。効果がないということは、時間を浪費することにもなるため、特にFIPのような一刻を争う病気の場合のデメリットは大きいです。

また、FIP治療薬については、ブラックマーケットにGS製剤と称される薬が多く存在していますが、これらの大部分では、有効成分の含有量不足が想定されます。規定どおりの用量を飲んでいたつもりでも、実は薬自体の用量が不足しており、結果として薬剤への耐性が生まれ、治療が失敗してしまうことも考えられます。そのような結果にならないためにも、より知見の揃った製剤を使用することがFIP治療では重要となります。

FIP治療においては個人輸入で薬剤を入手することは避け、必ず信頼できる動物病院に相談してください。

FIPの疑いがあるなら
治療相談700件超え
改善率95%、再発率1%
上池台動物病院へ

全国6院 お近くの病院を見る

東京都大田区上池台5丁目38−2

神奈川県横浜市南区永田台1−2

静岡県沼津市大岡900−3

愛知県名古屋市中区大須1丁目35−42

大阪府大阪市港区弁天1丁目4−9 第3柴田ビル 104

大阪府大阪市鶴見区放出東2丁目19-8

GS-441524(GS製剤)は国内未承認だけど使っても大丈夫?

無症状の猫コロナウイルス感染を放置するとどうなる?

承認を受けた薬剤のみで治療を行わなければならない国も存在しますが、日本では獣医師の裁量のもと未承認薬での治療は許されています

前提として、未承認薬がすべて危険というわけではありません。治療方法として確立されており、安全に使用できるというデータがあれば、問題なく治療を実施することができます。

まとめ

GS-441524(GS製剤)は国内未承認だけど使っても大丈夫?

GS-441524は猫のFIP治療に対して有効性がある薬であり、寛解率はおよそ8〜9割程度をほこります。猫のFIPはもともと無治療の場合は致死率100%の病気であったため、まさに救世主となるような薬といえます。

ただし、実際に寛解に至るかどうかは、獣医師による適切な診断・投与にかかっています。当然、個人輸入で入手した薬を自己判断で投与するのも絶対に避けるべきです。

FIP治療を進める場合は、治療相談700件超え、改善率95%の実績を誇る当院にご相談ください。

FIPの疑いがあるなら
治療相談700件超え
改善率95%、再発率1%
上池台動物病院へ

全国6院 お近くの病院を見る

東京都大田区上池台5丁目38−2

神奈川県横浜市南区永田台1−2

静岡県沼津市大岡900−3

愛知県名古屋市中区大須1丁目35−42

大阪府大阪市港区弁天1丁目4−9 第3柴田ビル 104

大阪府大阪市鶴見区放出東2丁目19-8