猫のぶどう膜炎とは、眼球内のぶどう膜と呼ばれる部分に炎症が起きている状態です。
「どのような様子を見せたらぶどう膜炎なの?」
「すぐに病院で見てもらった方がいいの?」
と考える飼い主さんもいるでしょう。
この記事では、猫のぶどう膜炎の原因や症状、治療について解説します。
猫のぶどう膜炎にはさまざまな原因が考えられますが、その内の一つとして、致死性が非常に高いFIPが挙げられます。FIPによってぶどう膜を発症している場合、数日の放置で命を落としてしまう可能性があります。そもそもぶどう膜炎なのかどうか、FIPに由来するものではないか、FIPの診断・治療に対応した当院にご相談ください。 |
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この記事の監修者

上野雅祐
上池台動物病院の院長を務める。海外でのセミナーや国際学会、海外大学への短期留学などでジャンルに囚われない幅広いスキルを磨き、外科・腫瘍・皮膚等の専門的で総合的な治療を提供する。
- 監修者情報
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▼略歴
- 麻布大学 獣医学科卒業(学業成績優秀者)
- 千葉県 中核の動物病院にて勤務医
- 神奈川県 外科認定医・整形専門病院にて勤務医
- 専門病院にて一般外科・整形外科に従事
- 日本小動物がんセンター 研修医
▼所属学会・資格- 日本獣医がん学会
- 日本獣医画像診断学会
- 日本小動物歯科研究会
- 日本獣医麻酔外科学会
- 日本獣医循環器学会
- 日本獣医皮膚科学会
- 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種
- ヒルズ栄養学コース修了
- Royal Canin Canine and Feline Clinical Nutrition Course修了
- 日本小動物歯科研究会 歯科レベル2
- 日本小動物歯科研究会 歯科レベル4
目次
猫のぶどう膜炎とは

猫のぶどう膜炎とは、その名のとおり、眼球内のぶどう膜と呼ばれる部分が炎症を起こしている状態です。
そもそもぶどう膜とは、眼球を構成する3層構造のうち、中間の血管層のことです。ぶどう膜は虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの要素によって構成されています。
そして、この3つの構成要素のうち、1部位もしくは複数部位に炎症が起こってる状態をぶどう膜炎といいます。
猫のぶどう膜炎の症状
ぶどう膜炎を発症すると、以下のような症状が現れます。
- 重度の充血による、いわゆる「赤目(レッドアイ)」
- 縮瞳(瞳孔が狭い状態)
- 眼がしょぼしょぼしている
- 眼を閉じて痛そうにしている
- 眼の表面が混濁したように見える
以下は、ぶどう膜炎を発症した猫ちゃんの様子です。眼がしょぼしょぼしているのがわかるかと思います。

猫のぶどう膜炎を放置するとどうなる?失明のリスクもある

ぶどう膜炎から、続発性の緑内障や網膜剥離および網膜変性などが起こると、最悪の場合は失明する可能性もあります。
猫のぶどう膜炎は、決して放置すべきではありません。
猫のぶどう膜炎の原因:特定の感染症

以下のような感染症は、一般的にぶどう膜炎を引き起こす原因となります。
- FIP
- 猫白血病
- 猫エイズ
- 猫ヘルペス
- アスペルギルス症
全身的な感染症に伴い、炎症が眼にも派生してぶどう膜炎が生じることがあります。また、細菌の菌体外毒素や免疫反応の結果として、ぶどう膜炎が生じる場合もあります。
上記の感染症の中でも、FIPは発症して放置すると数日で亡くなってしまう怖い病気です。眼の症状があれば、なるべく早めに動物病院をご受診ください。
猫のFIPとはどのような病気か?についてはこちら
猫のぶどう膜炎の原因:眼球自体の問題

以下のような眼球自体の問題も、猫のぶどう膜炎の原因となります。
- 爪による水晶体の外傷性損傷
- 急速な白内障の形成
- 白内障の進行
- 角膜炎
- 強膜炎
これらはいずれも、眼球のあらゆる疾患に伴って、ぶどう膜に炎症が波及することで二次的にぶどう膜炎が起こります。
猫のぶどう膜炎の原因:特定の全身性疾患

リンパ腫などの腫瘍は、ぶどう膜炎に転移することでぶどう膜炎を引き起こします。他にも、稀ではありますが、乳腺癌や血管肉腫など、その他の腫瘍も眼転移の報告があり、ぶどう膜炎を引き起こす可能性があります。
また以下の疾患は、眼内出血によりぶどう膜炎が生じます。
- 全身性高血圧(腎臓病などに由来する)
- 過粘稠度症候群
- 血液凝固不全
その他、高脂血症は、前房内への脂質漏出などによりぶどう膜炎が生じます。
猫のぶどう膜炎の検査・診断方法

猫のぶどう膜炎が疑われる場合、眼科検査(眼圧、スリット光、眼底、エコーなど )を行います。
続発性のぶどう膜炎の場合は、原発疾患を特定するために、身体検査・血液検査・画像診断を行います。
前房穿刺(眼球内の前房から針を刺して液体を抜き取ること)や組織生検(組織の一部を採取すること)などは、検査自体にぶどう膜炎の状態悪化や重篤な眼内出血の危険性があるため、積極的に実施されることは少ないです。
猫のぶどう膜炎の治療方法

続発性のぶどう膜炎の場合は、原因疾患の治療が最も効果的です。
ぶどう膜炎自体の治療としては、消炎治療(ステロイド、非ステロイド系消炎鎮痛剤)の点眼や内服薬の全身投与を行います。
猫のぶどう膜炎を予防するには

ぶどう膜炎はさまざまな病気から続発する疾患でもあるため、日々の健康診断などから病気の早期発見を心掛けることが重要です。
また、白内障に罹患している猫には、予防的に消炎剤の点眼等を行う場合もあります。
猫のぶどう膜炎に関してよくある質問

Q.猫のぶどう膜炎は完治しますか?
原発性(原因となる病気がない場合)のぶどう膜炎なら、適切な点眼や内服を行えば完治させることが可能です。
続発性のぶどう膜炎の場合は、原因疾患のコントロールで完治を見込めます。
Q.猫のぶどう膜炎は繰り返し起こることもありますか?
ぶどう膜炎が繰り返し起こることはあります。一回起きたぶどう膜炎が同じ理由で再度生じる場合もあれば、一回目とは違う理由でぶどう膜炎が生じる場合もあります。
Q.ぶどう膜炎は他の猫にうつりますか?
ぶどう膜炎自体は、猫から猫にうつることがありません。ただし、ぶどう膜を引き起こす猫エイズ、白血病、ヘルペス等は猫同士でうつることがあるため、予防を徹底することをおすすめします。
Q.猫のぶどう膜炎は人間にうつりますか?
猫のぶどう膜炎は人間にはうつりません。もちろん、猫エイズや白血病、ヘルペスも人間にはうつりません。
Q.ぶどう膜炎になりやすい猫種はありますか?
特にありません。
ただし、ぶどう膜炎を引き起こし得るFIPは、洋猫に比較的多いといわれています。
Q.ぶどう膜炎で失明してしまうことはありますか?
ぶどう膜炎から続発性の緑内障や網膜剥離、網膜変性などが続発して生じると、最悪の場合失明する場合もあります。
まとめ

猫のぶどう膜炎は放置すると最悪は死に至る恐れがあるため、日頃から眼球の様子に違和感がないかはしっかりチェックしてあげましょう。
また、FIPに由来してぶどう膜炎を発症している場合、無治療だと数日間で死に至る恐れがあります。一刻も早い治療が求められるため、すぐにでも動物病院を受診すべきです。
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