猫のリンパ腫の初期症状は、放置すると急速に状態が悪化し、1〜2ヶ月で命を脅かす可能性があります。初期症状の段階で早期に動物病院を受診し、早期治療に努めることが重要です。

この記事では、猫のリンパ腫の初期症状について詳しく解説します。

この記事の監修者

上野雅祐

上池台動物病院の院長を務める。海外でのセミナーや国際学会、海外大学への短期留学などでジャンルに囚われない幅広いスキルを磨き、外科・腫瘍・皮膚等の専門的で総合的な治療を提供する。

監修者情報

▼略歴

• 麻布大学　獣医学科卒業（学業成績優秀者）
• 千葉県 中核の動物病院にて勤務医
• 神奈川県　外科認定医・整形専門病院にて勤務医
• 専門病院にて一般外科・整形外科に従事
• 日本小動物がんセンター　研修医

▼所属学会・資格

• 日本獣医がん学会
• 日本獣医画像診断学会
• 日本小動物歯科研究会
• 日本獣医麻酔外科学会
• 日本獣医循環器学会
• 日本獣医皮膚科学会
• 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種
• ヒルズ栄養学コース修了
• Royal Canin Canine and Feline Clinical Nutrition Course修了
• 日本小動物歯科研究会 歯科レベル2
• 日本小動物歯科研究会 歯科レベル4

【タイプ別】猫のリンパ腫の初期症状

猫のリンパ腫の初期症状はタイプによって異なるものの、以下は共通して見られやすいです。

• 元気消失
• 食欲不振、体重減少
• 嘔吐・下痢
• 脱水
• 被毛の状態の悪化
• 発熱

特に体調不良が長引く場合は、リンパ腫の可能性があります。

以下では、リンパ腫のタイプ別に初期症状を解説していきます。

縦隔型リンパ腫の初期症状

猫の縦隔型リンパ腫は、胸腔内の縦隔に発生します。このタイプのリンパ腫における初期症状として特に特徴的なのは、呼吸困難や咳です。

愛猫がいつもより息苦しそうにしている、呼吸が荒くなる、または横になっている際に胸部が大きく動く場合は、注意が必要です。

消化器型リンパ腫の初期症状

猫の消化器型リンパ腫は、胃腸などの消化管に発生します。初期症状としては、嘔吐、下痢、便秘、血便などの消化器症状が見られます。

また、腹部にしこりができ、触れる場合もあります。食欲不振や体重減少もよく見られる症状です。

多中心型リンパ腫の初期症状

猫の多中心型リンパ腫は、全身のリンパ節が腫脹するタイプです。発症している場合、複数のリンパ節が腫れていることで気づくことが多いでしょう。顎の下、首、肩、膝の裏など、体のさまざまな場所でリンパ節の腫れが見られます。

その他、発熱、食欲不振、体重減少、元気消失といった全身症状が現れることもあります。

皮膚型リンパ腫の初期症状

猫の皮膚型リンパ腫は、皮膚や皮下組織にリンパ腫が発生するタイプのリンパ腫で、赤い発疹、脱毛、皮膚の潰瘍、しこりなどが初期症状として現れます。

かゆみを伴うこともあり、外傷やアレルギーと間違えられやすいため、治りにくい皮膚病変がある場合は注意が必要です。

鼻腔内リンパ腫の初期症状

鼻腔内リンパ腫は、鼻の中や副鼻腔に腫瘍ができるタイプのリンパ腫で、くしゃみ、鼻水（血が混じることもある）、鼻づまり、いびきのような呼吸音などが初期症状として現れます。

進行すると顔の変形や食欲低下につながることもあります。

猫のリンパ腫の初期症状を放置するとどうなる？

猫のリンパ腫の初期症状を見逃すと、病気は急速に進行する可能性があります。症状が進むと、全身状態の悪化や生命の危険に直結することがあります。

例えば、縦隔型リンパ腫では呼吸困難が重篤化し、消化器型リンパ腫では深刻な栄養失調や脱水症状が生じることがあります。最悪の場合は、治療が手遅れとなり、命を守ることが難しくなるかもしれません。

猫のリンパ腫は初期症状に気づいた段階で病院に連れていくことが重要

猫のリンパ腫は早期発見・早期治療が非常に重要です。リンパ腫は発見が遅れ、治療ができないと1〜2ヶ月程度で命を落とすことが多いです。しかし、早期に発見し、抗がん剤などの治療を行うと1〜2年以上生きてくれる猫もいます。

初期症状に気づいたら、すぐに動物病院を受診しましょう。早期に診断をつけることで、より適切な治療方針を立てることができ、愛猫の生活の質（QOL）を維持しながら、より長く一緒に過ごせる可能性が高まります。

少しでも不安に思うことがあれば、犬猫の腫瘍にて1000症例を超える治療実績を誇る当院にご相談ください。腫瘍専門医による正確な診断と最善の治療提案が可能です。