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猫のリンパ腫に対するロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)の効果は?副作用や寛解の可能性について解説

更新日:2025年10月24日  公開日:2025年10月24日

猫のリンパ腫に対するロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)の効果は?副作用や寛解の可能性について解説

ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)は、猫のリンパ腫治療に使われる抗がん剤の一種です。

ここでは、猫のリンパ腫に対するロイナーゼの効果や副作用、寛解の可能性について解説します。

ロイナーゼの適応も含め、愛猫のリンパ腫に関して不安に思うことがあれば、ぜひ当院にご相談ください。犬猫の腫瘍にて1000症例を超える治療実績がある当院なら、その子の状態と飼い主さまのご事情に合わせた最善の提案が可能です。

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ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)とは

ロイナーゼは、L-アスパラギンというアミノ酸を分解する酵素です。投与されると体内でL-アスパラギンを分解し、血漿中の濃度を低下させます。

猫のリンパ腫に対するロイナーゼの効果

猫のリンパ腫に対しては、ロイナーゼが腫瘍細胞の増殖を抑制する効果を示すことがあります。

猫の筋肉や臓器、神経などを正常に保つためには、L-アスパラギンというアミノ酸が欠かせません。L-アスパラギンは、正常な細胞では自ら合成できますが、リンパ腫の腫瘍細胞では合成能力が低く、自ら作り出すことができません。そのため、腫瘍細胞は外部から供給されるL-アスパラギンに依存しています。

この性質を利用し、ロイナーゼを投与して体内のL-アスパラギンを分解・枯渇させることで、腫瘍細胞の増殖を抑えることができます。

猫のリンパ腫とはどのような病気か?についてはこちら

猫のリンパ腫においてロイナーゼが選択されるケース

ロイナーゼは、既に状態が悪く他の化学療法薬の副作用に耐えられないと予想されるケースで使用されます。ロイナーゼは他の化学療法薬と比較して、白血球数の低下や貧血、嘔吐などの副作用が少ない薬だからです。

また、既に他の化学療法薬を試し、効果が見られなかった、効かなくなってしまったなどのケースで使用されることも多いです。

猫のリンパ腫治療に使われるその他の抗がん剤についてはこちら

猫のリンパ腫治療に使う抗がん剤の費用相場についてはこちら

猫のリンパ腫はロイナーゼのみで寛解する?

猫のリンパ腫をロイナーゼのみで寛解させるのは難しいといえます。

猫では犬と比較して、ロイナーゼが効くケースは少ないという報告があります(※)。また、同じ薬を何度も使い続けると、腫瘍細胞がその薬に対し抵抗性を獲得し、効果が出なくなる傾向があります。

基本的には、ビンクリスチンやシクロホスファミドといった他の化学療法薬をいくつか併用する方法で治療を行います。

※参考: LeBlanc AK, Cox SK, Kirk CA, Newman SJ, Bartges JW, Legendre AM. Effects of L-asparaginase on plasma amino acid profiles and tumor burden in cats with lymphoma. J. Vet. Intern. Med. (2007) 21:760-763. 

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猫にロイナーゼを投与した際の副作用

猫にロイナーゼを投与した際の副作用として、急性膵炎や凝固異常が報告されています。

以下の副作用は犬では報告されているものの、猫では報告されていません(※)。

  • アレルギー反応(ロイナーゼは大腸菌由来のタンパク質であるため)
  • 高アンモニア血症(ロイナーゼがL-アスパラギンを分解する過程でアンモニアが発生するため)

※参考:Blake MK, Carr BJ, Mauldin GE. Hypersensitivity reactions associated with L-asparaginase administration in 142 dogs and 68 cats with lymphoid malignancies: 2007-2012. Can. Vet. J. (2016) 57: 176-182.

猫に対するロイナーゼの投与方法

ロイナーゼの投与方法は、皮下注射または筋肉注射です。1〜3週間に1回程度通院していただき、注射を行います。

投与量、投与頻度は猫ちゃんの体格やリンパ腫の種類、治療効果を鑑みて決定します。

猫のリンパ腫に対してロイナーゼを用いた症例

  • 猫種:MIX
  • 年齢:11歳
  • 性別:去勢雄
  • 診断名:大細胞性B細胞性リンパ腫(消化器型リンパ腫の疑い)
  • 主訴:元気・食欲の低下

腹部超音波検査により空腸リンパ節の腫大が確認され、FNA(細針吸引検査)およびクローン検査の結果から、大細胞性B細胞性リンパ腫と診断されました。

飼い主様の希望により、他の抗がん剤は使用せず、ロイナーゼとステロイドのみで治療を開始。2週間で8回ロイナーゼの皮下注射を行い、同時にステロイド剤の投与を行いました。治療開始2週間後からはステロイド剤の経口投与のみを行なっています。

治療開始1ヶ月後、腫大リンパ節の縮小が認められました。その後、1ヶ月以上ステロイド剤の内服のみで、現状を維持しています。

▼初診時の空腸リンパ節

猫のリンパ腫に対してロイナーゼを用いた症例 初診時の空腸リンパ節

▼治療開始1ヶ月後の空腸リンパ節

猫のリンパ腫に対してロイナーゼを用いた症例 治療開始1ヶ月後の空腸リンパ節

まとめ

猫のリンパ腫に対してロイナーゼは、他の抗がん剤に比べて副作用が少なく、体への負担を抑えながら腫瘍細胞の増殖を抑える効果が期待できます。しかし、単独での寛解は難しく、ほとんどの場合は他の抗がん剤と併用して治療が行われます。

リンパ腫の種類や進行度、猫の体調によって最適な治療法は異なりますので、まずは腫瘍治療の経験が豊富な動物病院で相談することが大切です。愛猫のリンパ腫に関して不安に思うことがあれば、犬猫の腫瘍にて1000症例を超える治療実績がある当院にぜひご相談ください。

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