ポメラニアンは、可愛らしい外見と活発な性格で人気な犬種ですが、その体の構造や特性からくる骨折のリスクが高いとされています。

ここでは、ポメラニアンの骨折について詳しく解説していきます。

ポメラニアンの骨折はすぐに適切な処置を施さないと、状態がさらに悪化してしまうリスクがあります。「いつもと様子が違う」「これって骨折かな？」と思うことがあれば、整形専門医が在籍し、ポメラニアンの骨折治療の実績も豊富な当院にご相談ください。

ポメラニアンは骨折しやすいとされる理由

ポメラニアンが骨折しやすいとされる主な理由は、以下の通りです。

• 体重に対する骨の強度が不十分だから
• 好奇心旺盛だから

それぞれ解説していきます。

体重に対する骨の強度が不十分だから

ポメラニアンは小型で骨が細く、同時に骨が外側にむかって橈骨が湾曲している問題もあります。前腕骨（橈骨尺骨）の骨折が多く、また他の骨についても衝撃耐性が低いです。

また 成長期で骨が未成熟の段階だと、なお骨折しやすいです。

好奇心旺盛だから

ポメラニアンは好奇心旺盛で、跳躍・ダッシュが多い犬種です。運動中に骨へ強い衝撃が加わり、骨折してしまうリスクがあります。

また、運動環境が滑るフローリングだと転倒リスクが増し、骨折しやすくなってしまいます。

ポメラニアンの骨折でよくある原因

以下のような原因で骨折するポメラニアンが非常に多いです。

• 高所からの落下（ソファ・ベッド・階段からの転落、抱っこ中のすり抜け）
• 着地ミス（滑る床や段差での不安定な着地）
• 挟まれ事故（ドアや家具の隙間での挟み込み）
• 衝突・踏まれ（他犬との激しい遊び、人の不意の踏み込み）
• 屋外でのトラブル（自転車・車との接触、リードを引かれた際の急停止）

上記に、体重に対する骨の強度が不十分であるというポメラニアンの特性が加わり、骨折リスクが増します。

ポメラニアンが骨折したときに見せる症状

以下は、骨折したポメラニアンがよく見せる症状です。

歩行の異常	片足を浮かせる、ふらつく、急に動かなくなるなど
痛みのサインを見せる	鳴く、触られるのを嫌がる、攻撃的になるなど
腫れや変形	皮下出血、関節の不自然な角度
体調の変化	元気低下、食欲不振、震えなど
急な行動変化	お気に入りの動作（階段・ジャンプ）を避ける

「足を着けない＋触ると痛がる＋腫れ」の三点が揃ったら、骨折のリスクはかなり高いです。ハンドキャリーに入れて、安静を確保のうえで速やかに受診しましょう。

ポメラニアンの骨折は手術になる？

ポメラニアンの骨折が手術になるかどうかは、骨折の程度によります。

ズレが軽度で安定性が保てる単純骨折はギプス・副木での固定（保存療法）が可能です。しかし実際のところ、安静が難しい場面が多く、1週間程度経ってからの再度のレントゲンで骨のズレ等が見つかり、外科的な内固定（手術）が必要になるケースが多いです。

大きな転位、関節内骨折、多発骨折、非安定型骨折、解放骨折などの複雑な骨折は、基本的に手術が適応となります。また、 前肢・後肢の前腕骨（橈骨・尺骨）や上腕骨、脛骨、大腿骨などの関節近傍は、手術が選択されることが多いです。

ポメラニアンの骨折の手術費用

ポメラニアンの骨折の手術費用は、一般的に20万〜50万円前後が目安です。部位・難易度で幅があります。

費用を左右する要因としては、プレート/ピン/ワイヤーの種類、創外固定に用いる材料、手術時間などが挙げられます。

付帯費用として、以下のような費用が追加されることも考慮しておきましょう。

• 入院
• 鎮痛管理
• 再診レントゲン
• 抜糸
• リハビリ

また、ペット保険への加入有無でも自己負担額が大幅に変動します。

ポメラニアンの骨折が完治するまでの期間

ポメラニアンの骨折が完治するまでの期間は、折れた部位、折れ方、その治療手法によって異なります。

保存療法（手術しない場合）なら、 4〜6週間が骨癒合の目安です。運動制限は、そこからさらに1〜2週間です。

手術療法の場合、 8〜12週間が治癒の目安です。ただし、症例によりさらに長期化の可能性もあります。また、手技、月齢・年齢によっても癒合時期は変わります。

ポメラニアンの骨折予防

ポメラニアンの骨折予防には、いくつかのポイントがあります。

まず、日常的に安全な環境を整え、滑りにくい床材や階段の柵を設置することが大切です。また、過度な運動を避け、年齢や体力に応じた遊びを提供することも心がけましょう。

環境整備	・ソファやベッドにペットステップを設置する ・滑り止めマットを敷く ・段差を解消する
運動管理	・適正体重を維持し、骨や関節への負担を軽減する
しつけ・ルール	・ソファへの登り降りはステップ使用を徹底させる ・階段はリード付きでゆっくり移動させる
床材対策	・ 爪の長さ調整と肉球ケアでグリップ力を維持する

定期的な健康チェックを行い、骨や関節の健康を維持することが、ポメラニアンの骨折リスクを低減します。

まとめ

元気に走り回る姿が魅力のポメラニアンですが、その反面、骨が細く折れやすいという一面もあります。高い場所からのジャンプや滑りやすい床、思わぬ衝突など、日常の中に骨折のリスクが潜んでいます。

万が一折れてしまった場合、手術が必要になるかどうかや、治るまでにどれくらい時間がかかるかは、骨折の場所や状態で大きく変わります。大切な家族の痛みを長引かせないためにも、「おかしいな」と思った時点で無理に様子を見ず、早めに受診することが重要です。