「胸にしこりがあるけど、いつもと変わらず元気。これでも乳腺腫瘍の可能性はあるの?」
「元気な状態なら、乳腺腫瘍は放置しても大丈夫?」
このような不安を抱えていませんか?
この記事では、元気な犬でも乳腺腫瘍の可能性はあるのか、元気な状態からでも悪化するリスクはあるのかなどを解説しています。
結論からいうと、元気な犬でも乳腺腫瘍の可能性はあり、元気だからといって放置すると最悪は命に危険が及ぶ可能性があります。 少しでも不安がある場合は、腫瘍認定ドクターが在籍する当院までご相談ください。 |
当院の腫瘍治療について
※本記事では、実際の腫瘍の写真を掲載しています。苦手な方はご注意ください。
目次
元気な犬でも乳腺腫瘍の可能性はある
元気な犬でも乳腺腫瘍の可能性はあるため、胸のしこりは放置すべきではありません。
乳腺腫瘍は良性と悪性が50%ずつといわれています。さらに、悪性のうちの半分が全身に転移するといわれています。
つまり乳腺腫瘍全体の25%がリンパ節や肺転移を引き起こし、食欲の低下や呼吸困難などの全身症状が現れます。これは、明らかに元気がない状態のため、危険性はすぐに察知できるでしょう。
一方、残りの75%は乳腺付近に腫瘤が存在するだけで、違和感や痛みはないことがほとんどです。そのため、症状がなく元気な犬でも乳腺腫瘍が隠れている可能性は十分にあります。
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犬の乳腺腫瘍は元気な状態からでも悪化していく可能性がある
犬の乳腺腫瘍は、良性であっても時間経過とともに悪性腫瘍へ転化を起こすこともあるため、元気な状態であっても注意が必要です。
良性・悪性にかかわらず、初期では無症状で元気なことが多いですが、腫瘍が大きくなると血管の成長が追いつかず、壊死や自壊を起こすことがあります。
自壊してしまうと出血や細菌感染を起こすため、痛みを伴うことが多く、元気や食欲の消失が見られるようになります。
良性腫瘍に比べて、悪性腫瘍はサイズが大きく(3cm以上)、さらに速いスピードで大きくなる傾向にあるため自壊する可能性は高くなります。
犬の乳腺腫瘍は元気な状態からでも、時間が経つほど自壊や悪性転化などが生じる可能性が上がり、状態が悪化してしまう腫瘍です。
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犬の乳腺腫瘍は元気なら手術しなくても大丈夫?良性・悪性にかかわらず切除が望ましい
犬の乳腺腫瘍は元気でも手術を行うのが望ましいです。
なぜなら乳腺腫瘍は、腫瘍を切除して病理組織検査を行わないと良性か悪性かの正確な診断はできないためです。また、元気だからと放置した結果、命にかかわるまで状態が悪化する恐れもあります
良性・悪性にかかわらず、治療は基本的に手術での切除となります。
良性腫瘍を放置して悪性腫瘍に転化し、リンパ節や肺に転移した場合は手術では切除できず、治療が困難となってしまいます。
そのため、症状がなく元気な状態の段階で乳腺腫瘍を発見することが重要です。
元気な犬に乳腺腫瘍の手術を受けさせることで、むしろ負担とならない?
まだ腫瘍が小さく、元気であるからこそ早期に手術を受けさせるべきです。
乳腺腫瘍は、腫瘍の大きさが予後に最も影響する因子とされており、腫瘍の直径が3cm以下では、それ以上の大きさに比べて明らかに予後が良好となっています。
さらに腫瘍が小さいうちに手術をすることで、切除する範囲を小さく済ませることができ、より少ない負担で切除することができます。
また元気低下などの症状が出ている状態や、高齢の犬では、手術時の麻酔のリスクが健康な犬に比べて高くなります。
乳腺腫瘍を見つけた場合は、元気な状態であっても、少しでも年齢が若く、腫瘍のサイズが大きくなる前に手術をすることが、長い目で見たときに1番負担のかからない治療法となります。
まとめ:犬の乳腺腫瘍はむしろ元気なうちに治療を
元気な犬でも、乳腺腫瘍である可能性は十分にあります。また、乳腺腫瘍は元気な状態からでも時間経過で悪化していく可能性がある腫瘍です。
「元気だから大丈夫」という判断は危険であり、むしろ元気でかつ腫瘍のサイズが小さいうちに手術をすることが、愛犬の健康を守ることにつながります。
当院では、麻酔前に血液検査やレントゲン検査を行い、安全に手術を行える状態かどうかを評価してから手術を行います。
また、複数の麻酔薬を組み合わせて使用することで一つ一つの麻酔薬の量を減らせるため、より少ない負担で乳腺腫瘍の切除手術を行うことが可能です。
腫瘍が左右の乳腺に存在し、切除範囲が広い場合などは、一度に大きな負担がかかってしまうことを避けるために、手術を複数回に分けて切除するなどの方法も行なっております。
腫瘍のサイズや成長スピード、わんちゃんの年齢や状態など、その子に合った治療法をご提案させていただきますので、「乳腺腫瘍かな?」と思った際は一度ご相談ください。
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