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猫コロナウイルスとは?症状や治療法は?感染経路やFIPとの関係も解説

猫コロナウイルスとは?症状や治療法は?感染経路やFIPとの関係も解説
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この記事の監修者

上野雅祐

上野雅祐

上池台動物病院の院長を務める。海外でのセミナーや国際学会、海外大学への短期留学などでジャンルに囚われない幅広いスキルを磨き、外科・腫瘍・皮膚等の専門的で総合的な治療を提供する。

▼略歴

  • 麻布大学 獣医学科卒業(学業成績優秀者)
  • 千葉県 中核の動物病院にて勤務医
  • 神奈川県 外科認定医・整形専門病院にて勤務医
  • 専門病院にて一般外科・整形外科に従事
  • 日本小動物がんセンター 研修医


▼所属学会・資格

 

猫コロナウイルスは多くの猫が保有しているとされていますが、感染しても無症状である場合が多いです。ただし、FIPと呼ばれる致死率が高い病気に転じる可能性があるため、感染経路や予防法を含めてきちんと理解しておくことが重要です。

この記事では、猫コロナウイルスとはどのような病気なのかを詳しく解説します。

猫コロナウイルスとは?猫の間で感染するウイルス

猫コロナウイルスとは?

猫コロナウイルスは、猫の間で感染するウイルスで、一般的には無症状、場合によっては軽度の消化器症状を引き起こします。しかし、猫コロナウイルスの一部は、より重篤なFIP(猫伝染性腹膜炎)を引き起こすことがあります。

猫コロナウイルスは多くの猫が保有しているとされており、感染の危険を理解し適切に対処することが重要です。

猫コロナウイルスの症状

猫コロナウイルスの症状

猫コロナウイルスに感染した猫の多くは無症状ですが、一部の猫は嘔吐や下痢などの消化器症状を示すことがあります。また、ウイルスがFIPに進行した場合には、より重篤な症状が現れます。

猫コロナウイルスによって引き起こされるFIP(猫伝染性腹膜炎)とは?

猫コロナウイルスによって引き起こされるFIP(猫伝染性腹膜炎)とは?

FIPは、猫コロナウイルスが変異することによって発生する重篤なウイルス感染症です。

FIPの発症は稀ではありますが、発症すると致命的であることが多いです。ただし、早期に適切な治療を開始できれば助かることもあります。

FIPの形態は主にウェットタイプとドライタイプの2つに分かれます。

ウェットタイプのFIP

ウェットタイプのFIPでは、腹水や胸水が貯留し、呼吸困難や腹部膨満などの症状を示します。発熱、食欲不振、元気消失なども見られます。

ドライタイプのFIP

FIPのドライタイプは、非滲出性FIPとも呼ばれ、臓器に肉芽腫が形成されることが特徴です。主な症状には、持続的な発熱、食欲不振、体重減少、黄疸、下痢、嘔吐などがあります。

また、神経症状として運動失調やけいれん、眼症状としてブドウ膜炎が見られることもあります。これらの症状は、病変が中枢神経系や眼に及ぶことで発生します。

FIPについては以下の記事で詳しく解説しているにで、参考にしてください。

▼関連記事
FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?症状・うつる経路・治療費の相場などを解説

猫コロナウイルスの感染経路

猫コロナウイルスの感染経路

猫コロナウイルスは、主に感染猫の糞便を介して広がります。感染猫のトイレを共有したり、汚染された環境に触れたりすることで、他の猫にウイルスが伝播します。

多頭飼育環境では特に注意が必要です。

猫コロナウイルスの検査方法とその費用

猫コロナウイルスの検査方法とその費用

猫コロナウイルスに感染しているかを確認するためには、主に動物病院での血液検査を実施します。PCR法を用いてウイルスの遺伝子を検出する方法や、抗体検査を通じて感染の有無を調べる方法が一般的です。

特に新しく猫を迎え入れる際や、症状が見られる場合には、早期の検査が推奨されます。定期的な健康チェックも感染の早期発見に役立ちます。

当院では抗体検査は6,000円程度、遺伝子のPCR検査は10,000円程度で実施可能です。

猫コロナウイルスの治療方法

猫コロナウイルスの治療方法

猫のコロナウイルスは、一般的に軽症であることが多く、特別な治療を必要としない場合がほとんどです。多くの猫がこのウイルスに感染しても、無症状であるか、軽度の下痢や嘔吐などの消化器症状を示す程度に留まります。

下痢や嘔吐が見られる場合には、必要に応じて下痢止めや吐き気を抑える薬を使用します。

無症状の猫コロナウイルス感染を放置するとどうなる?

無症状の猫コロナウイルス感染を放置するとどうなる?

無症状の猫コロナウイルス感染が続くと、ウイルスが突然変異を起こし、致死的なFIPに進展するリスクがあります。ただし一般的にその確率は低く、猫コロナウイルスに感染した猫のうち、FIPを発症するのは約5%未満とされています。

多くの猫は猫コロナウイルスに感染しても、特に症状を示さずに健康に過ごすことができます。とはいえ猫コロナウイルスがFIPに転移した場合、放置すると致死率はほぼ100%となるため、定期的な血液検査は実施しておくべきでしょう。

猫コロナウイルスへの感染を予防するには

二匹並んで座っている猫

猫コロナウイルスは、猫を外に出さず完全に室内で飼うことで、感染のリスクを大幅に減少させることができます

多頭飼いをしている場合、感染猫との接触を最小限に抑えるために個別のトイレや食器を用意し、定期的に掃除を行うことが推奨されます。

さらに、猫のストレスを軽減するために快適な環境を提供し、適度な運動や遊びを促すことも重要です。ストレスは免疫力を低下させ、感染のリスクを高める可能性があります。

猫コロナウイルスに関するよくある質問

ハテナの吹き出しと人形

Q人間の新型コロナウイルスと猫のコロナウイルスは何が違うのですか?

人間の新型コロナウイルスと猫のコロナウイルスは異なるウイルスです。

人間の新型コロナウイルスはベータコロナウイルスに属し、主に呼吸器に影響を与えます。

一方、猫のコロナウイルスはアルファコロナウイルスに属し、猫腸コロナウイルスや猫伝染性腹膜炎ウイルスなどがあり、主に消化器系に影響を与えます。

Q猫コロナウイルスは人間へとうつりますか?

現在のところ、猫コロナウイルスが人間に感染するという報告はありません

Q猫コロナウイルスは犬へとうつりますか?

犬と猫は異なる種であり、コロナウイルスの種類も異なるため、猫コロナウイルスが犬に感染することは一般的には報告されていません

Q人間の新型コロナウイルスは猫へうつりますか?

人間の新型コロナウイルスは、猫に感染することが確認されています。特に感染した飼い主からの接触やエアロゾルを介して感染することが多いとされています。

人間の新型コロナウイルスに感染した猫では、一部で呼吸器症状や消化器症状が報告されていますが、ほとんどの場合は無症状です。

Q猫コロナウイルスに感染した猫に触れた後はどうすればいいですか?

猫コロナウイルスに感染した猫に触れた後は、まず手をしっかりと洗うことが重要です。石鹸と水を使って手を洗い、ウイルスの付着を防ぎましょう。

また、消毒用アルコールを使用することも効果的です。これにより、他の猫への感染を防ぐことができます。

Q猫コロナウイルスのワクチンは存在しますか?

猫コロナウイルスに対する有効なワクチンは現在のところ存在しません

Q猫コロナウイルスは消毒できますか?

猫コロナウイルスは、アルコールや界面活性剤を使用して消毒することが可能です。ウイルスの表面はエンベロープと呼ばれる脂質で覆われており、これがアルコールによって破壊されるため、効果的な消毒が可能です。

また、次亜塩素酸ナトリウムを使用することも推奨されています。これにより、猫に感染させるリスクを減少させることができます。

Q猫コロナウイルスに後遺症はありますか?

多くの場合、猫コロナウイルス感染は軽度であり、後遺症が残ることは少ないです。

Q猫コロナウイルスにかかりやすいのは何歳ごろですか?

猫コロナウイルスは、年齢に関係なく感染する可能性がありますが、特に若い猫で発症しやすい傾向があります。若い猫は免疫力が未熟であるため、感染や発症のリスクが高まると考えられています。

Q猫コロナウイルスへの感染は定期的な健康診断で発見できますか?

猫コロナウイルスへの感染は、定期的な健康診断で発見することが可能です。特にPCR検査を定期的に受けることで、感染の有無を確認できます。

多頭飼育や新しい猫を迎え入れる際には、感染状況を把握するためにPCR検査が推奨されています。定期健診はFIPなどの早期発見にも役立ちます。

【まとめ】猫コロナウイルスに関して正しい理解を

猫コロナウイルスに関して正しい理解を

猫コロナウイルスは感染しても無症状であることが多いため、「心配しなくてもいい」と思われるかもしれません。しかし、稀ではありますが、猫コロナウイルスは致死率が非常に高いFIPに転じる可能性があります。

猫コロナウイルスについてきちんと理解し、感染予防や定期的な検査を実施することが大切です。

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